河村勇輝・独占インタビュー 「自分に期待するハードルが高くなった」理由とNBA本契約への手応え

杉浦大介

4月5日のサンズ戦後に独占インタビューに応じてくれた河村勇輝。NBA挑戦2年目のシーズンを総括し、3年目への決意を口にする 【杉浦大介】

 ロサンゼルス・レイカーズの八村塁、シカゴ・ブルズの河村勇輝の参戦で、ますます注目度が高まるNBA。このコラムでは、バスケットボールの世界最高峰リーグの“いま”を、NY在住ライターの杉浦大介氏が2人の日本人選手を中心に、現地感たっぷりに深掘りしてお伝えする。今回は、開幕直前に右足の血栓を理由にブルズとの契約を解除されながら、今年1月に再びこのNBAきっての名門と2ウェイ契約(NBAチームとその傘下のGリーグチーム=ウィンディシティ・ブルズの両方でプレー)を結び直した河村勇輝の独占インタビューだ。まもなくNBA挑戦2年目のシーズンを終える小さな司令塔を、4月5日(現地時間、以下同)のフェニックス・サンズ戦後のロッカールームで直撃した。

3分という時間でも自分の力を証明する

――ブルズの2ウェイ契約選手として、NBAとGリーグを行き来しながら過ごした2年目のシーズンをどう振り返りますか?

 開幕から3カ月間、実戦から離れていたのですが、復帰してからまた3カ月が経とうとしています。今季は昨季と違い、NBAのゲームにもローテーションの一員として出ることがたまにありました。(試合終了直前の)最後の時間帯ではなくて、まだ勝負が決まってないシチュエーションでプレーできるのは何よりも嬉しいです。徐々にNBAの中でも役割をつかみつつあるという感覚もあります。

 ただ、前半から出場しても、その間にゲームの流れを変えたり、チームの勝利に貢献するようなプレーが1つ、2つ出てこないと、前半だけの出場で終わったりもします。前半でしっかりと力を証明できれば、また後半にもチャンスが来るというのが今、自分が置かれている立場だと思っています。

――言葉で表現すると、「ベンチからの登場でエナジーを供給する」というのが現在の役割になるでしょうか?

 そうですね。ベンチから出て、“ゲームチェンジャー”になること。フルコートで相手にプレッシャーをかけたり、ワイドオープンの3ポイントショットを決めきることが重要になります。あとはやっぱりPGなので、しっかりとゲームメイクもしなければいけません。自分の強みはペイントにアタックして、相手のディフェンスを自分に集中させるというところでもあるので、それもしっかりやらなければいけないと思っています。

――ゲーム内でペース配分もあるかと思いますが、今は短い時間帯のプレーという想定でエナジーを凝縮させている感じでしょうか?

 試合に出てから3分で交代とかも普通にあることなので、逆に言うとその3分のうちに自分の力を証明しないといけません。1プレーでも、2プレーでも、チームに流れを持っていくようなプレーができるように。そういうプレーをより増やさなくてはいけないと思っています。

判断がコンマ1秒遅れただけでも……

「Gリーグとは段違い」というNBAのディフェンス強度を改めて実感した2年目。世界最高峰リーグでは一瞬の判断の遅れが命取りになる 【写真は共同】

――Gリーグでは今季もスターレベルの成績を残したと思います。

 いえ、そんなことはないですけどね(笑)

――平均18.7得点、10.9アシスト(取材日の4月5日時点)は立派な数字です。ほぼ2年間やってみて、あらためてNBAとGリーグの違いはどこにあると感じていますか?

 同じGリーグでも、若い選手にボールを預けてプレーさせるディプロップメント(育成)が中心のチームと、育成だけではなくしっかり勝ち抜こうとするチームがあります。Gリーグの中でもそこの差はかなりあるのかなと思っていますが、いずれにしてもNBAとは特にディフェンスのシステム、強度といった部分に違いがありますね。

 1人ひとりのマッチアップするときのプライド、目の前にいる選手にどれだけやられないか、あとはローテーションの速さ。1人が抜かれた後にヘルプして、そのヘルプで入ったときにどれだけ動くのかというスピードが、NBAとGリーグでは段違いです。

――先日、ニューヨークでのニックス戦(4月3日)の際に、「NBAではシュートのタイミングがなかなか来ない」という話をされていました。それはやはりディフェンスの速さが影響しているのでしょうか?

 ディフェンスのずれが一瞬できたとしても、オフェンスの判断がコンマ1秒遅れてしまったら、シュートが打てないのがNBAだと思っています。ワイドオープンのショットを生み出すには、このリーグでは本当に素早い状況判断を心掛けないといけません。

――世界最高のリーグでやっていく上で、ディフェンス強化は鍵の1つであり続けると思います。その面での進境はいかがでしょうか?

 5日のサンズ戦でもデビン・ブッカーに簡単にジャンパーを打たれてしまった場面がありました。ディロン・ブルックスとのマッチアップのときも、しっかりディフェンスはできていたのに最後、高い位置からのジャンプショットを決められてしまった。どれだけ守っても、ジャンプシュートが入ってしまうとなかなか簡単ではないというのが正直なところです。

 それでも自分は、ジャンプシュートの中でも一番確率が低いと言われるミドルレンジのショットを打たせるというところを、とにかく徹底してやってきました。そういったショットを相手に無理強いできるようになっているのはいいことではあります。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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