バドミントン渡邉柚乃が高校選抜V 16歳でU24代表の逸材が見据える成長

平野貴也

全国高校選抜、女子シングルスで優勝した渡邉柚乃(倉敷中央高) 【平野貴也】

 重圧の中で結果を残した戦いぶりは立派だったが、将来に見据える大目標を考えれば、まだ課題はある。3月に香川県高松市で行われた第54回全国高校選抜バドミントン大会の個人戦女子シングルスは、渡邉柚乃(倉敷中央高、1年=新2年)が初優勝を飾った。

 高校年代の有力選手は、ジュニアナショナルチームのU19に選出されているが、渡邉は、唯一、2032年ブリスベン五輪をターゲットに新設されたU24にも選出されている期待株。2月には、混合ダブルスで五輪2大会連続銅メダルの五十嵐有紗(BIPROGY)ら日本の主力とともにアジア団体選手権に出場している。「高校生に負けてはいけないと思った」と安堵の表情を見せた。

 準決勝まで、1ゲームも失わない安定した戦いぶりだった。決勝戦は、永渕友梨華(佐賀女子高、2年=新3年)とのU19代表対決。第2ゲームは、攻め急いでしまい、ネット前にシャトルを沈める球に早い対応をしてきた相手にペースを奪われてしまったが、ファイナルゲームに入ると、敵陣後方への配球を多くして状況を打開。互いに疲労がある中、コートを広く使う展開で「動き、スピードで負けるつもりはない」と自慢のスピードを生かした。

 25年に高校2年生以下を対象とする全日本ジュニア選手権で優勝し、同年の世界ジュニア選手権で日本の団体戦銅メダル獲得に大きく貢献。世代の一番手として認識され、U24に飛び級選出される中、重圧に押しつぶされずに結果を残したのは、見事だった。

日本代表も脅威を感じるスピード

素早いフットワークから高い打点で攻める渡邉 【平野貴也】

 スピードは、渡邉の最大の特長だ。とにかく、体がよく動く。相手の揺さぶりにフットワークの速さで対応し、高い球が上がってくれば、素早く落下点に入り、強打をたたき込む。素早いフットワークで、相手よりも優位な体勢からショットを繰り出すことで主導権を握るスタイルだ。

 25年末の全日本総合選手権では、日本代表の明地陽菜(再春館製薬所、今季はU24代表)と対戦。渡邉は「大人と子どものようだった」と主導権を奪えずに0-2で敗れた試合を振り返ったが、スコアは18-21、19-21と接戦。

 明地に言わせれば「5歳下とは感じられない強さ。スピードの中に緩急がある。粘り強く、取れなさそうだと思ったところからでも入れてくる。負けてもおかしくない状況だった」と脅威を感じる内容だった。渡邉は、26年に入ってからもオランダジュニア国際で2位、ドイツジュニア国際で優勝と好成績を残しており、早くもブリスベン五輪の星として期待がかかっている存在だ。

課題は「ショットの選択」

 1年生にして全国大会優勝は立派。しかし、将来に大舞台を見据えるなら、課題はある。渡邉は「高校生の段階だと動きで勝てる部分があるけど、上に行くとカバーできないところがある。ショットの選択で勝つことが課題です」と明かした。武器であるスピードの裏に課題が隠れている。

 倉敷中央高の尾崎勝久監督は、同世代の別の選手が、渡邉ほど動き回らずに勝っていることに言及。「相手の嫌な場所に、嫌なタイミングで配球できているから、ラリーで優位に立って勝っている。柚乃選手は、そこがまだ苦手。連戦で足(のスピード)がなくなったときに、球の選択が悪かったらやられる。トライアンドエラーでいいから、相手の考えていることと、自分の狙いがどれくらい一致するか考え続けないといけない。試合の中で修正していく意思を見せられる選手ではあるけど、最初からできるようになれば」と説明した。決勝戦の終盤でも「最後まで選択だよ」と声をかけていた。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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