木下稜介が2位Tで約2,768万円獲得! 躍動する日本勢、その進化の理由とアジアゴルフ急成長の背景

北村収

日本のファンの前で好プレーを披露した木下稜介 【Photo by Jason Butler/Getty Images】

 アジアンツアーの「インターナショナルシリーズ・ジャパン」が4月2日から5日まで千葉県のカレドニアンゴルフクラブで開催。賞金総額は約3億2,000万円、優勝賞金は約5,760万円(36万ドル)という高額賞金大会ということもあり、世界中からトップ選手が参戦した。3日目を終えて今平周吾が首位タイに立ち、最終日は8つスコアを伸ばした木下稜介が惜しくも1打差で優勝は逃したが、日本人選手が優勝争いの主役にいた。なお、2位タイに入った木下は賞金約2,768万円(17万3000ドル)を獲得した。

 昨年は、比嘉一貴がアジアンツアーで2勝を挙げ年間王者に輝き、浅地洋佑が高額賞金大会のシンガポールオープンで優勝するなど、近年日本人選手のアジアンツアーの活躍が目立つ。その理由を探ってみた。

「海外への適応力と英語で引け目を感じなければ、日本人も活躍できる」浅地洋佑が語るアジアでの手応え

 アジアンツアーのインターナショナルシリーズポイントランキングで昨季2位に入り、その資格で今季LIVゴルフに参戦している浅地洋佑は、アジアで結果を出せている要因として「環境に慣れるのが早くなった」と語った。「どこに行ってもヤダなと感じなくなった」ことで、試合へ「普段通り挑めるようになった」というマインドの変化が、好調につながっているという。

 ほかの日本人選手が海外でも通用すると思うかと尋ねると、「日本人選手の中には、高いレベルでプレーする人が多い」としたうえで、「言葉は話せない人が多いが、それに対して引け目を感じなければ活躍できると思う」と語り、環境や言語の壁を乗り越えてきた自身の経験の重みをうかがわせた。

大会前の会見に出席した浅地洋佑 【©アジアンツアー】

アジアのベテラン記者は日本人選手の意識の変化が成長の理由と語った

 日本人プレーヤーの最近の活躍は海外ではどのように評価されているのか。シンガポール在住で約20年にわたりアジアを中心に活動するゴルフライターのカルヴィン・コー氏に話を聞いた。

 コー氏は、「日本ツアーの選手は他の国の試合をあまり経験できないが、比嘉や浅地はアジアのさまざまな国の環境でプレーしてきた。その経験こそが、彼らがアジアで勝てるようになった理由」と海外での実戦経験が、対応力と結果に直結しているという見方を示した。さらに日本の若い世代について、「海外滞在時にテクノロジーをうまく取り入れることで、以前の世代に比べてより良いパフォーマンスが発揮できるようになっているかもしれない」と分析した。

 加えて、言語面での意識の変化にも触れた。「英語でコミュニケーションを取ろうとする選手が増えていることも大きい。中島啓太はインドで優勝した際、英語で優勝インタビューに応じていた」と分析した。

 さらに、日本についても詳しいコー氏は最近の日本の育成環境の変化についても言及。「(アマチュアが所属する)日本のナショナルチームはトレーニング方法など多くの面で国際化が進んでいる。そこも以前との大きな違いだと思います」と話し、若い世代が育ってきた日本のゴルフ環境自体が変わってきたことが、国際舞台で活躍できる選手の創出にも繋がっているのではと話してくれた。

アジアのトップに立てたのは飛距離アップが大きな要因と語った比嘉一貴

「(アジアンツアーで)2年前に同じコースと回ったときよりも、飛距離がかなり伸びたことで、やっと(昨年は)戦えるようになった。これまでは小さいグリーンや固いグリーンに対して、周りの選手よりも2番手、飛ばし屋と比べると3番手長いクラブでセカンドを狙う場面が多かった。それが、1番手以内くらいで攻められるようになった」と語る。

 アジアンツアーの比嘉のドライビングディスタンスデータをチェックすると、2024年の287.87ヤードから2025年は298.82ヤードでデータ上でも大幅に飛距離アップしている。

 クラブ選択の変化は、そのままプレーの質の向上につながった。「ショットで引けを取らなくなり、セカンドでチャンスメイクができるようになった」と、アジアの頂点に立てた理由を明確に示した。

昨年のアジアンツアー年間王者になった比嘉一貴 【©アジアンツアー】

日本人選手と海外選手の実力差の大きな要因の一つは飛距離か?

 海外のツアーは飛ばし屋が多いのか?2025年の各ツアーが発表している飛距離データをチェックしてみた。アジアンツアーは300ヤード以上の選手が47人、日本ツアーは12人と大きな差があった。なお、米国ツアー(PGAツアー)は300ヤード以上の選手が116人、欧州ツアー(DPワールドツアー)は67人だった。計測条件などで違いがあり単純比較はできない部分があることを考慮しても、海外のツアーは日本ツアーよりも圧倒的に飛ばす選手が多い。

 もちろん飛距離だけがトップに立つための絶対条件ではない。昨年、アジアンツアーの年間王者となった比嘉のドライビングディスタンスは56位だが、フェアウェイキープ率9位、パーオン率9位など他でカバーしてトップに上り詰めた。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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