苦境の西武で台湾の大砲は「1日1安打」 打球速度はトップレベル、首脳陣の期待は…
両打撃コーチの見解は?
だが、2025年は90試合で23本塁打、73打点とこの二つの数字は5シーズン前に及ばないが、OPSは2020年の同.990から2025年は同1.000にアップしているのだ。
「対戦したピッチャーも、自分のコンディションも2020年と2025年では違います。だから、二つの年の自分を比べることはできません」
本人はそう話したが、キャリアを重ねるにつれ、バッターとして進化している感覚はあると言う。NPBで問われるのは、その打棒をどこまで発揮できるか。そう語ったのは立花義家打撃コーチだ。
「よく『打球速度が大事』と言われるけど、打球速度だけ出ても……ね。去年の(レアンドロ)セデーニョは打球速度が速いと言われても、バットに当たらないわけだから。そういう人はいっぱいいた。(ウラディミール)バレンティンがホークスにいた時も、『現状試合、出られません』ってはっきり言ってきたから。
基本的にミートする力がどれくらいあるかが、一番大事だと思う。要は芯に当たったら、それだけ打球速度も上がるということだから。それをアジャストするにはどうするか。最初からどんどん振っていくのが大事だと思います」
台湾や韓国から来日する選手にとって、ハードルになるのが日本でレベルの上がる投手をどう打つかだ。立花コーチは現役時代の1993年に台湾・俊国ベアーズ(現・富邦ガーディアンズ)でプレーし、韓国プロ野球(KBO)でも指導経験がある。近年のNPBは投手のレベルアップが著しく進むが、林の適応はどれくらい難しいと想像されるか。
「基本的に“いい選手”は、どこに行っても“いい選手”なんですよ。だからアジャストする力とか、スイングの速さとか強さは、日本や韓国に行っても一緒なんです。ただボールのキレと速さが根本的に違うから、そこのところが難しい。アンコーも今どんどん振っていって、その中で『これはやめよう』とできるか。例えば(オリックスの)宮城(大弥)は外の球を追いかけると難しい。『ちょっと待って打つのがいいですよ』って話はしました」
3月31日からのオリックス3連戦で対戦したアンダーソン・エスピノーザと宮城はNPBトップクラスの投手で、術中にハマる打席が多かった。各投手の投球軌道に慣れる時間は林に限らず新外国人選手に不可欠で、試合を重ねれば状態はもっと上がってくるはずだと仁志コーチは見ている。
「慣れてくれば、もっと器用さも出てくると思います。今はどちらかと言うと、ガツンガツンと打っている感じですけど、率を稼いでいくには日本だと特に器用さも必要だし、彼はそういうものも発揮できると思う。これから少しずつヒットゾーンを広げていくような感じでやっていけたらいいなと思っています」
苦境の打線で監督は主砲の活躍求める
「ピッチャーの打てるボールと打てないボール、(外角でバットが)届く、届かないも含めて、見極めの余裕がもう少し出てくると思います。まだシーズンが始まったばかりで、まだホームランもないしというところを見ると、まだちょっとね。今はヒットを打つことに一生懸命だけど、試合に出るのはDHばかりだから、守りながら試合に出るとまたリズムが変わってくるかなと思います」
開幕2戦目から4番・指名打者で出場していたが、4月5日の楽天戦は3番ライトで来日初の守備に就いた。だが延長10回、12回のチャンスはいずれも凡退し、チームも勝利を拾うことができなかった。
今季の西武はチームスローガン「打破」を掲げるが、懸念の攻撃力不足が露呈し、9試合終了時点でNPBワーストのチーム打率2割0分9厘、18得点で、2勝6敗1分。西口文也監督に林の評価を聞くと、主砲に求める要求の高さが聞こえてくる。
「最後の打席は甘く浮いた、高めの球をしっかり捉えられたというところなのでね。まあチャンスで、しっかりもう少し早い回で打ってほしいというところはありますけどね」(4月1日、オリックスのエスピノーザとの対戦後)
「低めのボール球の見極めじゃないですか。どうしてもあそこに手が出てしまうので。甘くなったところは、しっかりと仕留めてくれているので」(4月2日、オリックスの宮城との対戦後)
5位に終わった昨季から巻き返しを図り、積極補強を敢行した西武で最大の目玉が2年総額推定400万ドルで迎え入れた林だ。開幕9試合を見ても、高い能力を秘めているのは間違いない。
それだけに、早くも苦境が訪れているチームで1日1安打以上の活躍が求められている。