ドゥラドーレス毎日杯で自己嫌悪…くすぶる戸崎圭太を変えた福永祐一と川田将雅の言葉
大井競馬場で頭角を現し、JRAでも数々のビッグレースで結果を残してきた。
その華やかな実績の裏には、挫折や苦闘、遠回りの日々があった。
書籍『やり抜く力 天才じゃなくてもトップになれた「ベリベリ」シンプルな理由』(戸﨑圭太著)より、一部を抜粋してお届けします。
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焦りが招いたドゥラドーレスの毎日杯
JBCレディスクラシックの前も同じような心境に陥って自爆したというのに、やはり僕という人間は開き直ることができない。開き直った先に広がる、別の景色を見る勇気がないのだ。
そんな焦りが、最悪の形で表面化してしまったのがドゥラドーレス(宮田敬介厩舎)の毎日杯だ。単勝2・1倍の1番人気。とてもいい馬で、皐月賞へという陣営の期待の大きさが伝わってきた。何としてもクラシックに連れていきたい、そして僕自身もいい流れを引き寄せたい。そんな強い気持ちをもって臨んだ一戦だったのだが……。またしても、その気持ちが裏目に出てしまう。
レースは、1枠1番から出遅れてスタート。そのまま無理せず中団の後ろを進んだのだが、出遅れた時点で焦っているから、その後の選択も冷静ではなかった。3〜4コーナーで内からポジションを上げていき、4コーナーでは完全に前が壁。勢いがついているから手綱を引っ張るしかなく、最後方まで下がってしまった。直線も追い出すまでに時間がかかり、進路が開いてからはものすごい脚で伸びてくれたが、時すでに遅し(3着)。ゴールに飛び込んだのは、勝負が決したあとだった。
競馬には、どう乗っても詰まってしまう展開もあるが、この結果は完全に僕の焦りのせい。情けないし、ダサいし、カッコ悪いし……。「何やってんだよ、俺」という自己嫌悪はもちろん、馬自身や関係者への申し訳なさで胸が押し潰されそうになった。
落馬などのアクシデントがなかったのはせめてもの救いだが、蓋を開けてみればJBCレディスクラシックと似たようなミスだ。普段は勝ち負けに一喜一憂せず、淡々と乗り続けることができるのに、古くはナイキアディライトのマイルグランプリで頭が真っ白になってしまったように、自分の焦りへの耐性のなさを呪うしかなかった。
毎日杯のダメージは想像以上に大きく、僕はしばらく立ち直れなかった。情けなさと恥ずかしさとで、もう表に出られないと思ったほどだ。
ただ、どんなにどん底を味わおうとも、競馬は毎週やってくる。1頭1頭に向き合うなかで自然と気持ちが切り替わるから、ジョッキーとは幸せな職業だ。それに、ここが“どん底”であるならば、これ以上落ちることはない。あとは上がっていくだけだと自分にいい聞かせながら、目の前の競馬に集中していった。