週刊MLBレポート2026(毎週木曜日更新)

投手・大谷翔平が追い求めるのは安定か、進化か 今季初二刀流試合で投じたスプリットからうかがえる兆候

丹羽政善

3月31日(※日時はすべて現地時間)のガーディアンズ戦、今季初の投打同時出場で勝利を飾った大谷 【写真は共同】

スプリットの横変化量に表れる大谷の意識

 2026年の大谷翔平(ドジャース)は、どんな球を投げるのか。

 おそらく、データ界隈の人たちが気にしていたのは、シンカー/スプリットをどれだけ投げるのか。どんなスプリットを投げるのか――ではなかったか。

 今季初登板となった3月31日のガーディアンズ戦、シンカーに関しては4球しか投げていないので予想よりも少なかったが、スプリットに関しては、“逃げない”という強い大谷の意思が滲んでいた。

「大谷のスプリット」横の月別平均変化量(2018~) 【参照:Baseball Savant】

 まずは、このグラフを見てほしい。2018年以降の大谷翔平が投げたスプリットの横の変化量を月別にまとめたものだ。マイナスの値が大きいほど、アームサイド(大谷から見て右側)に変化しているということになる。これを数値で表すと、2021年以降の平均変化量はこうなる。

【参照:Baseball Savant】

 これを見ると、明らかに昨季以降の軌道は、これまでとは異なる。要因は何か? まず、スプリットを投げるときのアームアングルだが、そこにも明らかな変化が見られた。

【参照:Baseball Savant】

 先ほどの変化量と見比べると、アームアングルが下がるにつれて、変化量が大きくなるという連動性が見られる。31日の数値はまだ公表されていないが、おそらく、昨季と近い数値になるのではないか。

 ただ、アームアングルだけでここまで変化量が変わるのか? そう考えながら昨季のある日の試合映像を見ていると、大谷のスプリットのグリップがはっきり映っているシーンがあり、中指だけが、縫い目にかかっていた。

 この映像をMLBの投球分析家ピッチングニンジャ、MLB.COMのデータリサーチャー、デビッド・アドラーと共有すると、ともに「これで、アームサイドへの変化量が大きくなった説明がつく」と同意した。

 ピッチングニンジャは指摘する。

「縫い目の影響を利用して、変化させている。基本的にアームサイドに曲がるシンカー、チェンジアップなどは、縫い目による影響が大きいけれど、このスプリットもそういうことが言える」

 ちなみに、スプリットだけで56球も投げた2021年9月19日の試合の握りが、いまの握りと酷似している。あのときは捕手のマックス・スタッシが、「試合前、翔平から『今日はグリップを変えるから、軌道が変わるかも』と言われた」と証言している。違いについては、「アームサイドへの変化量が大きくなった」と明かしたが、その傾向は昨季の軌道とも一致する。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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