イングランド代表が“聖地の一戦”に込める意味 大量35人招集から日本戦で見極める「本番仕様」
日本は「組織力が高く、油断できない相手」
この一戦は、単なる国際親善試合という言葉では収まりきらない意味を持つ。2026年ワールドカップ開幕まで約2か月半。トーマス・トゥヘル監督率いるイングランド代表にとって、日本戦は「最終テスト」であり、「チームの完成度を測る鏡」ともなるからだ。
今回の3月シリーズのマッチメイクに込められた意図は明確だ。ドイツ人指揮官は、FIFAランキング20位以内の国であり、なおかつヨーロッパとは異なるスタイルを持つ相手との対戦を強く望んでいた。3月27日に対戦した南米のウルグアイは現時点でFIFAランキング17位、そしてアジアの日本は同18位。両国はまさにその条件を満たす存在なのである。
同じヨーロッパの国との対戦では見えにくい課題――テンポの違い、組織的な守備、試合中の戦術修正力など――にどこまで対応できるかを測るための相手として、確かに日本は極めて適していると言える。
実際、2022年W杯で日本がドイツやスペインを相手に見せた戦いぶりは、欧州サッカー界に小さくないインパクトを残した。試合途中で流れを変える柔軟性、規律ある守備と鋭いカウンター。その読みにくさは、強豪国にとって厄介な要素として位置付けられている。イングランドにとっても例外ではなく、今回の試合は「異質な相手にどう対応するか」というテーマを浮き彫りにするはずだ。
イングランド国内での日本戦の報じられ方は、相手への警戒感をにじませるものが多い。テストマッチゆえに大一番という空気ではないが、日本の評価自体は決して低くない。とりわけブライトンで活躍している三笘薫の存在は広く認知されており、プレミアリーグでの飛躍によって「最も危険なウインガーの1人」として確固たる評価を得ている。
また、クリスタルパレスの鎌田大地や、リーズの田中碧といった欧州で実績を挙げてきた選手たちも、熱心なファンの間ではよく知られた存在。さらに今回は招集外ながら、他にもリバプールの遠藤航や元アーセナルで現アヤックス所属の冨安健洋といったプレミアリーグ経験者の名前が挙がること自体、日本の層の厚さを物語っている。
総じて、日本は「組織力が高く、油断できない相手」として受け止められている。
日本戦でチームの骨格が明確になるはず
従来の常識からすれば異例の大所帯であり、さらに選手の合流時期を「1試合目のウルグアイ戦」と「2試合目の日本戦」で、2つのグループに分けるという運用も前例に乏しい。ウルグアイ戦から参加するのは24選手。そして、日本戦から新たに11選手が合流する。
その背景には、単なる選手選考を超えた意図がある。所属クラブで過密日程のシーズンを戦ってきた主力選手のコンディションを守りつつ、同時に新たな選択肢を見極める――トゥヘルはその両立を図ろうとしているのだ。
ハリー・ケインやブカヨ・サカ、デクラン・ライス、モーガン・ロジャーズといった主力組は、ウルグアイ戦後から本格合流。3月22日のアトレティコ・マドリー戦で故障から復帰したばかりのレアル・マドリー所属のジュード・ベリンガムも、ウルグアイ戦の出場を見送っており、日本戦こそが本番仕様の布陣を試す場となる。
裏を返せば、27日のウルグアイ戦はテスト色の強い実験の場であった。フィル・フォデンやノニ・マドゥエケといった最終メンバーの当落線上にいる選手に先発のチャンスを与え、戦力の見極めを図った。迎える日本戦で、チームの骨格が明確になるはずだ。