識者が選ぶセンバツのベストナイン 新基準の金属バット3年目の春は打撃で目立つ選手が多かった

西尾典文

新基準の低反発バットへ完全移行されて3年目。対応が進んだ今春は、初導入のDHで長打力を見せつけた大阪桐蔭・谷渕など、打撃で目立つ選手が多かった 【写真は共同】

 第98回選抜高校野球も残すは決勝戦のみとなったが、ここでは準決勝までのプレーぶりから、今大会のベストナイン(投手は左右1名ずつ、野手は今大会から導入の指名打者を含めた11名)を選出した。なお、選考基準は将来性などを加味したドラフト候補としての評価ではなく、あくまでもこのセンバツにおけるパフォーマンスだ。

フォームを変えて格段にスピードが増した門倉

右腕で選出されたのは、専大松戸の門倉。準々決勝で山梨学院を相手に完投勝利を飾るなど、秋から大きく成長した姿を見せた 【写真は共同】

 まず右投手では、最注目の存在だった織田翔希(横浜/3年)が初戦で敗れ、菰田陽生(山梨学院/3年)も一塁手として出場した1回戦の長崎日大戦で、打者走者と交錯して左手を骨折。登板機会がないまま甲子園を去っている。

 そんななかで北口晃大(八戸学院光星/3年)、黒川凌大(花咲徳栄/3年)、龍頭汰樹(神村学園/3年)なども力を発揮したが、1人を選ぶのであれば門倉昂大(専大松戸/3年)になるだろう。初戦で北照から4安打完封勝利を挙げると、続く九州国際大付戦でも4回1/3のロングリリーフを無失点と好投。さらに準々決勝では、昨秋の関東大会で敗れた山梨学院を相手に自責点0の1失点完投とリベンジを果たした。

 少し肘を下げたフォームにしたことでスピードが格段にアップ。上手く力を抜いて投げられていて、終盤になっても球威が落ちず、制球も乱れない。秋からの成長という意味で最も驚かされた選手である。

 左投手は杉本真滉(智弁学園/3年)と最後まで迷ったが、インパクトの強さから川本晴大(大阪桐蔭/2年)を選んだ。

 初戦の熊本工戦では14奪三振完封。192センチ・95キロの恵まれた体格から投げ込むストレートは、分かっていてもなかなか打ち返すのが難しい。制球は多少アバウトでも、四球から自滅するようなこともなく、準々決勝の英明戦では緊迫した場面でのリリーフでも力を発揮した。

角谷の捕球と送球は高校生トップクラスだ

捕手には優秀な人材が多かったが、守備面はもちろん、広角に打てる打撃面も評価して、智弁学園の角谷を選出した 【写真は共同】

 捕手は吉岡伸太朗(専大松戸/3年)、佐伯真聡(花咲徳栄/3年)、杉本将吾(近江/3年)、城野慶太(九州国際大付/3年)など実力者が多かったが、今大会でのパフォーマンスでは角谷哲人(智弁学園/3年)を推したい。

 杉本の140キロ台中盤のストレートをしっかりミットを止めて捕球できるキャッチング、素早い動きで正確に投げられるスローイングは、いずれも高校生ではトップクラス。打撃もコースに逆らわず広角に打てるのが持ち味で、初戦の花巻東戦では3安打4出塁とトップバッターとして見事な活躍を見せた。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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