MLBだけじゃない!日本人投手はなぜ海外移籍が続くのか? 今度は独立MVP右腕が台湾へ
「ずば抜けた能力を持つという投手ではない」
「去年BCリーグ選抜の一員としてフォールリーグで韓国に行かせてもらってから、海外でやりたいという欲が出てきました。楽天モンキーズからオファーをもらった時はうれしかったです」
阪神の森下翔太やオリックスの曽谷龍平らと同学年の榊原は大阪観光大学時代の2022年にプロ志望届を出したが、NPB球団から指名されず、独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスへ。BCリーグで先発投手として3年続けてコンスタントに登板し、2025年には17試合で10勝3敗、防御率2.18、73奪三振と際立つ活躍を見せた。
「ずば抜けた能力を持つという投手ではないけど、逆に言えばそれが武器です。モンキーズにはそうした点も評価されました」
移籍の裏側を明かすのは群馬球団で会長付特別補佐を務め、ミルウォーキー・ブルーワーズの国際スカウトとしても活動する色川冬馬氏だ。
実際、榊原のストレートは最速146km/h、アベレージでは139〜145km/hと特段速いわけではない。ツーシーム(平均129〜136km/h)、カットボール(平均129〜136km/h)、スローカーブ(平均87〜95km/h)、チェンジアップ(平均119〜125km/h)と豊富な持ち球と組み合わせ、コンビネーションで打ち取っていく。色川氏が続ける。
「榊原はシーズン通して故障もなく、先発ローテーションをちゃんと回れて、どの球種でもちゃんとストライクを取れる。モンキーズは先発でイニングをしっかり投げられる投手を求めていて、そこにフィットしました」
相次ぐ独立L→台湾移籍
「まずは二軍の先発ローテーションでちゃんと回り、一軍入りをアピールしてほしい」
楽天がオファーしたのは、育成外国人選手としての契約だった。CPBLで一軍登録できる外国人選手枠は各球団4人だが、育成外国人選手はその制限を受けず、故障者が出た場合などに備えてアピールしていける。
契約条件は「NPBの育成選手程度」だが、金銭的には日本の独立リーグより恵まれている。人気拡大中のCPBLでステップアップを目指せるのは、大きなモチベーションになるだろう。
昨季は富邦ガーディアンズが元くふうハヤテ(現ハヤテ)の二宮衣沙貴、元茨城アストロプラネッツの根岸涼を育成外国人として獲得したが、CPBLではなぜこうした契約が増えてきたのか。色川氏が見解を語る。
「2023年に台鋼ホークスが当時二軍球団としてスタートし、小野寺賢人がテスト外国人として入団。翌年一軍で投げたのが最初の成功体験です。次に富邦が二宮、根岸を獲得しましたが、そこそこ投げました。これくらいの契約内容で、日本の独立リーグのトップ選手が来てくれると気づいたんだと思います。鈴木駿輔は2024年からCPBLでプレーしていましたし、少しずつそういう流れになり始めていると感じます」
各国で求められる日本人投手のある能力
「日本の独立リーグでシーズンを通して活躍できれば、『台湾や韓国でもこれくらいできるだろう』と見てもらえるようになってきました。CPBLの二軍でパフォーマンスを発揮できれば、台湾の一軍、KBO、NPBのドラフトと選択肢が広がります。CPBLでプレーした実績があれば、台湾の社会人野球でプレーする可能性も出てくるし、中南米のウインターリーグも目指せます。これまでなかったような野球選手のキャリア形成のあり方を広く知ってもらえるという意味でも、榊原のチャレンジがどうつながっていくかが楽しみです」
先に名前を挙げた日本人選手たちは全員ピッチャーだ。日本人投手は高いゲームメイク能力を備え、外国人投手がチームの主力となっている韓国や台湾、さらにメキシコなどでも評価されている。榊原はまさにそのタイプだ。
「僕のピッチングに派手さはないので、見ている人はインパクトを感じないかもしれません。でも試合が終わってみたら、『あ、今日あいつ、6回1失点に抑えたな』という感じのタイプなので、首脳陣がどんどん使ってくれたらありがたいですね」