週刊ドラフトレポート2026

昨夏甲子園V左腕、春に見せた進化/“大谷ルール”適用1号、青森の大型右腕の評価は?

西尾典文

世代ナンバーワンの甲子園優勝左腕と称される沖縄尚学・末吉良丞(左)と、東北で注目を集める大型右腕である八戸学院光星・北口晃大(右) 【撮影:西尾典文】

 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 今回は熱戦が続いている選抜高校野球で力を発揮した二人の投手を取り上げます。

世代ナンバーワンの甲子園優勝左腕、選抜で新たな姿をアピール

球速の上がったストレートが武器の沖縄尚学・末吉はフィジカルも強化して成長している 【撮影:西尾典文】

末吉良丞(沖縄尚学 3年 投手 175cm/91kg 左投/左打)

【将来像】大隣憲司(元ソフトバンク、ロッテ)

上手く脱力して高い出力を維持することができれば、大隣のような本格派左腕になれる素材
【指名オススメ球団】巨人
大舞台での経験も豊富で、注目される環境に強い選手は巨人でも力を発揮できそう
【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名(2位以上)の可能性あり

 昨年夏の甲子園で初優勝を果たした沖縄尚学。その原動力となったのが当時2年生ながらエースとして見事な投球を見せた末吉良丞だ。初戦の金足農戦では14奪三振で無四球完封。3回戦の仙台育英戦でも延長11回を一人で投げ抜いて12個の三振を奪うなど、その実力はとても2年生とは思えないものがあった。

 甲子園大会後に行われたU18W杯にも2年生で唯一選出され、3試合に先発してチームの準優勝に貢献している。しかし夏にフル回転した影響で秋は調子を落とし、スカウト陣からもその状態を心配する声は多かった。

 そして迎えた選抜高校野球、沖縄尚学は開幕カードで帝京と対戦。末吉は1対0で迎えた8回に味方のエラーからピンチを招き、逆転の2点タイムリーツーベースをなど7回2/3を投げて4失点で負け投手となったが自責点は0。9奪三振の好投で改めてその実力を全国に示した。

 一時は130キロ台しか出なかったというストレートはこの日球場表示で最速147キロをマーク。制球は時折ばらつく場面があったものの、ここ一番のボールの勢いは素晴らしいものがあった。変化球では昨年夏に大きな武器となっていたスライダーが思うように制御できなかった点は気になったが、逆にチェンジアップとフォークの落ちるボールは質も精度も向上しているように見えた。

 もうひとつ感じたのがフィジカル面の変化だ。昨年秋は明らかに体重が増えすぎてバランスを崩していたように見えたが、冬の間には減量に取り組みながら筋肉量アップを図ったとのことで、この日は一回り引き締まって見えた。その効果はピッチングにも表れているようで、体重移動もスムーズになり、フォームの躍動感もアップしていたのだ。

 昨年夏に大活躍したことで相手チームからもかなり研究されていたと思われるが、その中で終盤までしっかり試合を作り、また新たなピッチングスタイルを見せたというのは大きなプラス要因である。視察したプロのスカウト陣からもサウスポーでは高校生でもトップクラスという声も聞かれており、夏に向けてしっかり状態を上げていけば上位指名も十分に狙えるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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