ニューウィ代表更迭? アストンマーティン・ホンダに何が起きているのか

柴田久仁夫

ニューウィ代表更迭か

第2戦中国GPに姿を見せなかったことで、ニューウィ更迭の噂が一気に広がった 【(C)AstonMartinF1】

 アストンマーティン・ホンダが、大不振に沈んでいる。開幕2戦を終えて、全11チーム中最下位。フェルナンド・アロンソとランス・ストロールはいずれも、入賞どころか完走すらできず、獲得ポイントは0のままだ。リタイア理由は主に、ホンダ製パワーユニットの信頼性由来、あるいは酷すぎる振動による。

 一方で新車AMR26についても、「信頼性や振動問題だけではない」(マイク・クラック元チーム代表)と、複数の課題があることを示唆している。
 
 そんな中、AMR26の生みの親で、マネージング・テクニカル・ディレクターを兼務するエイドリアン・ニューウィをチーム代表から外す動きが出てきた。中国GP直後に突然の代表退任が発表された、アウディF1のジョナサン・ウィートリーが後を継ぐと見られている。もしそうなった場合、ニューウィの代表在任期間はわずか4カ月ということになる。

5年間で5人の代表交代の異常

マイク・クラックは代表降格後も、レース現場で中心的役割を果たしている 【(C)AstonMartinF1】

 振り返ればアストンマーティンは、ニューウィ以前も次々にチーム代表の首をすげ替えてきた。

 まず、このチームの前身フォースインディア時代に代表に就き、選手権4位を二度達成するなど高い手腕を見せたオットマー・サフナウアーが、アストンマーティン初年度が終わった2022年1月に退任した。

 後任には、ポルシェやBMWのレース部門を復活させたマイク・クラックが就任した。2023年にはアロンソが表彰台争いを重ねるなど躍進を見せたが、翌年は低迷。するとチームはクラックを、レース現場の責任者に降格。CEOのアンディ・コーウェルに代表を兼任させた。コーウェルは七連覇を遂げたメルセデス製パワーユニットの開発責任者で、本来はエンジンエンジニアである。だがマネジャーとしての評価も高く、ホンダ側も「彼となら、うまくやれる」と厚い信頼を寄せていた。

 しかしコーウェルは2025年11月、1年も経たずに解任された。この年の3月にレッドブルから迎え入れていたニューウィが全権掌握に固執し、最終的にコーウェルが外された。しかしニューウィはそもそもマシン開発に没頭する「作る人」であり、千人規模の組織運営、それに伴う多くの雑事には「できれば関わりたくない」と本人自身言明しているほどだ。第三者とのコミュニケーションが大の苦手であることは、筆者もレース現場で何度も体験してきた。つまり今回の人事は、最初から適材適所ではなかった可能性が高い。

 このままウィートリーがニューウィに代わって新代表に就任すれば、わずか5年余りで5人の代表が入れ替わることになる。

 もちろんF1チームの代表交代は、決して珍しいことではない。しかし1年も経たずに退任することは、基本的にはあり得ない。それがアストンマーティンでは、立て続けに起きている。そしてこれらの決定は、本人が最初から主導したか、最終的に承認したかの違いこそあれ、オーナーのローレンス・ストロールが深く関与していることは明らかだ。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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