高校野球 令和の継投論

東東京の名門・関東一の明確な投手起用法 抜き球習得は必須、監督考えの契機は2010年に

大利実

【写真は共同】

 カウント途中での継投、「雨が降る前に傘を差す」早めの継投、マシンガン継投、選手の身体を守る継投、もしくはエースと心中……果たして正解は?令和の高校球界で戦う監督8人が答える。

『高校野球 令和の継投論』から関東第一高校・米澤貴光監督の章を一部抜粋して公開します。

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技巧派左腕+本格派右腕で夏の甲子園準優勝

 東東京の名門・関東第一。2024年夏の甲子園で創部最高成績となる準優勝を遂げる(春は1987年にセンバツ準優勝を経験)と、翌年夏にも準々決勝まで勝ち上がった。

 関東第一の投手陣から感じる特徴は、「左は技巧派」「右は本格派」とタイプがはっきりとしていることだ。意図的なのか、はたまた偶然なのか。

「そういう組み合わせになっているように見えますが、スカウティングの段階で意図的にしているわけではありません。投手陣の特徴を伸ばしていこうと考えたときに、結果的にそうなっていると言ったほうがいいと思います」

 2000年に就任した米澤貴光監督。 関東第一のOBであり、高校時代は内野手として活躍していた。中央大、シダックスを経て、指導者の道へ。これまで春夏12度の甲子園出場を誇り、21勝12敗と高い勝率を誇る。2024年には初の全国制覇に王手をかけて、決勝では京都国際とタイブレークにもつれ込む熱戦を演じた。

 投手陣は、最速151キロの本格派右腕・坂井遼(ロッテ)、ストレートと変化球のコンビネーションで攻める右腕・大後武尊(東京情報大)、緩急を武器に試合を作る技巧派左腕・畠中鉄心(日大)、タテのカーブが持ち味の左腕・坂本慎太郎の4人が中心となっていた。

 新基準バットに移行してから初めて迎える夏の大会ということもあってか、甲子園ではロースコアの試合が続いた。伝統的に、足と守りで接戦をモノにしていく関東第一にとっては、ある意味で得意な展開でもあった。

 以下に、東東京大会から甲子園までの投手起用を掲載した。ひとりのピッチャーで試合を締めたのは、コールド勝ちで終わった東東京大会5回戦のみ。残りの試合はすべて継投で勝利を挙げている。

 畠中は登板8試合中じつに6試合が先発で、坂井は9試合すべてが二番手以降の起用で先発は一度もなし。使い方がはっきりとしている。

「その代に限らず、基本的には畠中のようにコントロールが良く、余計なフォアボールを出さないのが先発で、後ろには坂井のようにスピードで勝負できるピッチャーを考えています」

 練習試合ではさまざまなパターンを試すが、夏の大会ではコントロール型からスピード型の継投になることが多い。終盤の勝負所で、三振を奪える力があるか。プロ野球のリリーフをイメージすればわかりやすい。

【画像提供:竹書房】

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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