日米で起きた打撃の進化と変化 魚雷バットと新基準金属バット、その背景は?
「現代野球を“見える化”する 最先端のデータ分析と戦略」から一部抜粋して公開します。
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すべてのコースをホームベースの前でさばく
日本人の場合はどちらかといえばインコースは前、アウトコースは後ろでさばくイメージだ。
シアトルにあるドライブラインでは、「ホームベースの6インチ前で打つことで、長打の確率が上がる」という教えを徹底し、上から撮影した映像でミートポイントを視覚化している。
なぜ、この考えが生まれたか。考え方はとてもシンプルで、前で捉えるほうがスイングが加速した状態でボールを捉えることができるからだ。結果として、長打の確率が高い打球につながる。
この代表例とも言えるのが、WBCのアメリカ代表に選出されているカイル・シュワバー選手(フィリーズ)である。2025年に56本塁打を放ち、自身2度目のナ・リーグ本塁打王を獲得した。センターからライト方向へのホームランがじつに45本近くあり、とにかくミートポイントが前にある。逆方向に飛ぶときは決して狙っているわけではなく、タイミングが少し遅れたときや、ストレートに差し込まれたときに起きる現象となる。
また、インコースを前でさばくために、2025年のMLBで突如として流行り出したのが「トルピードバット」(魚雷バット)である。先端部が細く、芯から根元にかけて太くなっている特殊な形のバットだ。重心の位置が従来のバットよりも手元側にあるのが特徴で、その分、インコースが振り抜きやすい。インコースに差し込まれる打者ほど、効果があったのではないか。弱点としては、重心の関係でヘッドが返りやすくなるため、外のスライダー系にヘッドが早く回ってしまうこと。中盤戦以降は、バッテリーもそのあたりを頭に入れながら攻めていた印象が強い。