なぜ、ゴルフファンでない人まで“ジャンボ”に惹かれたのか? お別れの会で語られた尾崎将司の生き方

北村収

1996年ダンロップフェニックスで100勝を達成した尾崎将司さん 【写真は共同】

 約30年にわたってゴルフメディアに携わってきたが、ゴルフファンではない人からも「ジャンボが好きだ」と言われることが本当に多い。昨年12月23日にS状結腸がんのため死去したジャンボこと尾崎将司さんのお別れの会が3月16日、都内のホテルで営まれた。

 招待者のみが出席する午前の式典には約1000名が会場に集まった。王貞治氏をはじめ野球界からも数多くの参列者が訪れ、ジャック・ニクラウス、トム・ワトソンからはビデオメッセージも届いた。午後の一般献花は13時30分開始予定だったが、12時ごろにはすでにファンが押し寄せ、急遽12時30分ごろに繰り上げてのスタート。ゴルフという枠を超えた存在であったことを、会場の光景が物語っていた。

野球界のレジェンドも出席。左から王貞治氏、山本浩二氏、田淵幸一氏、江本孟紀氏 【(C)北村収】

 尾崎さんは徳島・海南高(現海部高)のエースとして1964年春のセンバツに出場し、初出場初優勝を達成。翌年プロ野球・西鉄ライオンズ(現西武)に投手として入団したが、その後プロゴルファーへ転身した。圧倒的な飛距離とカリスマ性でゴルフを「見せるエンターテイメント」に変え、日本のゴルフブームをけん引。プロ通算113勝(国内94勝)という前人未到の記録を打ち立てたゴルフ界のスーパースターである。式典で語られた言葉の数々には、多くの人がジャンボに惹かれた理由が詰まっていた。

「携帯もスマホも持ったことがない」――“ジャン兄”のカッコ良さを語った佐野木計至氏

弔辞を読む佐野木計至氏 【(C)お別れの会事務局】

 尾崎さんのキャディとして数々の勝利を支えた佐野木計至氏は、弔辞の中で尾崎さんのことを"ジャン兄(ニイ)"と語りかけ、その素顔を明かした。

「大人になってもコーヒーを飲まない。喫茶店に行ったこともない。携帯もスマホも持ったことがない。そのうえ、外出ギライ。先輩は、まさに昭和の頑固モン! いや、昭和の侍でした。本当にカッコ良かった!」

「昭和の侍」。最も近くで見続けた佐野木氏が選んだその一言に、ジャンボの生き様が凝縮されている。

「我が人生に悔いはない」――長男・智春氏が明かしたジャンボの最期の言葉

参列者一人ひとりに挨拶した尾崎智春氏 【(C)北村収】

 長男の尾崎智春氏が壇上で明かしたのは、父が最期に残した言葉だった。

「父親は最期に『我が人生に悔いはない』と言っておりました。好きなことをやって、わがままをたくさん言って、好きなものをたくさん食べて、こんな素晴らしい人生、何の悔いもないと言って、この世を去りました」

 智春氏の挨拶はごく短いものだったが、「我が人生に悔いはない」というジャンボの最期の言葉は、出席者の胸に深く響いた。

「並の選手とは違ったすごいものを見せてもらった」――王貞治氏が語ったジャンボの魅力

野球界のレジェンド王貞治氏 【(C)北村収】

 野球界のレジェンド王貞治氏は、甲子園のころからジャンボを見つめてきた一人である。

「甲子園で優勝した時、将来、われわれの世界に入ってくるだろうなと思ったんですよね。逆に言うと、ゴルフでこんなにすごい選手になるとは思わなかったですよね」

 ゴルフ界におけるジャンボの功績についてはこう語った。「とにかく、彼がブームを作った。本当に、日本のゴルフ界を大きくした人」。さらに競技者としてのすごみにも触れ、「ここぞという時のショットやパターは、並の選手とは違ったすごいものを見せてもらった」と振り返った。

「カラオケで踊るジャンボ」――松山千春氏が明かした意外な素顔

歌手の松山千春氏 【(C)北村収】

 歌手の松山千春氏が語ったのは、コースの外でのジャンボの姿である。

「カラオケもよく行きまして。あいつもカラオケが好きで。俺が歌って――皆さん、信用できないかもしれないけど、ジャンボが踊るんですよ。北島さんの『山』という歌を俺が歌い始めると、ジャンボが踊り始めて、みんなで楽しみ合った思いがありました」 

 プライベートでの付き合いが長かった松山氏ならではのエピソードだった。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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