金メダルとの差は“0.08秒差” 45歳の小栗大地がつかんだ悲願のメダル
バンクドスラロームは五輪にはない種目で、傾斜のあるコーナー(バンク)が設置されたコースを各選手が2本滑り、最速タイムを競う種目だ。
男子下肢障害LL1クラスの1本目では、約2秒差内に上位5人が入る混戦となった。そのタイム争いを制し、優勝したのはアメリカのノア・エリオット。だが日本チームも負けていなかった。小栗は2本目でノアのタイムに0.08秒差まで迫る59秒02で2位。小栗にとっては3大会目のパラリンピックで悲願のメダル獲得となった。一方、けがを抱えながらの出場となった小須田は5位に入り、レース後は仲間のメダルを心から喜んだ。
「僕のためのコース」で結果を残した小栗
小栗は表彰式へ向かう中、取材エリアに向けて言葉を投げた。
1本目、小栗は1分00秒09で暫定2位。ほぼ狙い通りの滑りだった。
「昨日からコースが自分に合っていて、『僕のためのコースだな』と思っていた」
グーフィー(右足前)のスタンスで滑る小栗にとって、このコースは相性が良かった。
「スピードが割と出るコースで、きついターンが全部トゥーサイド(足のつま先側のエッジを使って滑るターン)だった。本当にグーフィーの僕向きのコースだった。雪もザクザクにならずに僕に向いてる雪だったので、『メダルを獲ってくれ』と言われているようだった。」
1本目のプランは「大きなミスをしないでタイムを残して2位に入る」と明確だった。
狙い通りに2位につけた小栗は、迎えた2本目では、1本目であまりうまくいかなかった前半部分を修正。フィニッシュタイムは59秒02で、1本目から約1秒縮めた。フィニッシュ後、小栗は左の胸元を右手で握り締めていた。胸ポケットに、小栗の子どもが誕生日に作ってくれたミサンガとゴーグルケースを入れていたという。好タイムを出せた嬉しさをそのお守りとともにかみ締めているように見えた。
だが、1本目終了時にトップだったノアの58.96のタイムをわずかに上回れず、ノアが2本目を滑る前に小栗の銀メダルが確定した。ノアはウィニングランとなった2本目でもさらにタイムを縮め、58.94でフィニッシュ。結果、0.08秒差で小栗は金メダルには届かなかった。
「負けたけど、今までで一番(1位との)タイムを縮められたと思う。それだけで嬉しい」
僅差となった2位という結果を受け止めたが、実際、あと一歩の場面もあった。
「(2本目の)最後のキッカー(ジャンプ台)で飛んじゃってミスしてしまった。あれがなければノアの1本目のタイムはまくれたかな」
それでも、小栗にとってワールドカップに出場し始めて10年、3度目のパラリンピックでついに手にしたメダルだ。その重みを問うと、「めちゃくちゃ重い。ようやく獲れたパラリンピックのメダルなので、重いです」と、この10年を反芻しているような表情で答えた。