侍Jマイアミへ、投打のキーマンは 「気持ちの部分が大きい」近藤は先発か代打か

丹羽政善

チェコ戦の勝利後、観客席の声援に応える近藤健介と大谷翔平。近藤健介はこの日、出番はなかった 【Photo by Gene Wang - Capture At Media/Getty Images】

連覇へのラストピース――復活を待つ背番号「8」

 東京スカイツリーを見上げる倉庫群の一角に新しく墨田区にできたSPONOBA(スポノバ)という練習施設がある。2人同時の投球が可能なピッチングレーンのほか、16メートルのバッティングレーン、トレーニングルーム、畳スペースなどが備わり、このオフは日本のプロの選手の他、吉田正尚も訪れた。

SPONOBA(スポノバ)のバッティングレーン 【筆者撮影】

 近藤健介も昨季終了後、恒例となっている徳之島での自主トレまで、この施設を使って度々体を動かした。決してプロ専用の施設というわけではなく、隣のケージでは子供たちが練習していたりする。当然、近藤が打撃練習を始めると彼らは釘付けとなり、自然とネットの周りに人垣ができる。

 練習が終わると、子供たちは微妙な距離感を保ちつつ、近藤から視線を外さない。プライベートでもあるので彼らも声を掛けにくい。スタッフもお願いすることは憚られたが、そんなとき近藤は空気を察し、彼の方から「いいですよ」と子供たちのサインの求めに応じたそうだ。

SPONOBA(スポノバ)で練習する近藤健介。隣は指導を担当するトレーナーの木村匡宏さん 【写真提供:SPONOBA(スポノバ)】

 通算打率.307を誇り、状況に合わせた打撃もできるセンス抜群の職人が、気さくに交流する。それは子どもたちにとってかけがえのない一瞬となったはず。ただ、その近藤がいま、もがいている。声をかけてもらった子供たちもいま、複雑な思いを抱いているのではないか。

 10日、侍ジャパンは1次ラウンドの最終戦を迎えた。すでにC組のトップ通過を決めており、大谷翔平、鈴木誠也らがチェコ戦のスタメンから外れた。休養という意味合いのほか、アメリカに出発する前に出来るだけ多くの選手に出場機会を与えておこうという配慮がうかがえ、森下翔太が1番を打ち、2番に佐藤輝明が入った。

 ただ、スタメンには近藤の名前もなかった。これは大谷、鈴木らとは意味合いが異なる。実戦の打席を重ね調子を取り戻す、あるいは、チェコの投手力が劣るとはいえ、1本が出れば、それだけでプレッシャーが和らぐ。出場を続けることで、そんなプラス要素も見込めたが、井端弘和監督は、近藤を外した。

「野球選手なので1本出ることが非常に重要かなと思いますし、かといって休むことも必要かなとも思います」

 その意図を試合前の会見でそう指揮官は説明したが、この試合に限らず、その先にどんな含みがあるのか。準々決勝で果たして彼の名前はスタメンにあるのか。代打起用なのか。

 ピッチクロックを意識してか、打席では通常のルーティンができず、リズムが合わないようにも映る近藤。技術的というより、「気持ちの部分が大きいのかな」と話すが、彼が大谷と鈴木の間に入って繋ぐ役割ができてはじめて、侍ジャパンの打線は世界と渡り合える。間違いなく決勝ラウンドのキーマンであり、本来の姿をなんとか見せてもらいたいところ。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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