血栓を克服した小さな司令塔・河村勇輝の語り継がれる軌跡 NBAでサバイブを続けるために必要なこととは?
血栓による離脱でバスケへの愛情を再確認
ついにコートへのカムバックを果たした彼の姿を見て、名作バスケ漫画の有名なフレーズを思い出さずにはいられなかった。
1月23日、復帰2戦目となったGリーグ(NBAのマイナーリーグ)のゲームを終えた河村勇輝の表情は、また思う存分にバスケットボールができる喜びに満ちあふれていた。
「当たり前にできていたバスケットが、急になくなった。悔しさはもちろんすごくあったんですが、本当にたくさんの方に支えられて、前向きな気持ちで、この3カ月間を過ごしてこられました。本当に、急にバスケットができなくなる可能性もあるんだっていうことを身に染みて感じられたことが、(この期間で)一番成長できた部分なんじゃないかなって思っています」
NBA最大級の名門シカゴ・ブルズと2ウェイ契約(NBAチームとその傘下にあるGリーグチームの両方でプレー)を結びながら、突然その契約が解除されたのは昨年10月、今季の開幕直前だった。それから約3カ月が過ぎ、離脱の理由が右足の血栓であることを明かした河村は、体調の回復とともにブルズと2ウェイ契約を結び直した。
こうしてバスケットボールへの愛情を再確認し、身長172センチの小柄なポイントガード(PG)は、以降もひたむきに、楽しそうにボールを追いかけている。
オフェンスに関してはNBAスカウトも高評価
一方、NBAのブルズのゲームには7試合に出場し、平均12.6分のプレーで2.9得点(FG成功率27.8パーセント、3P成功率28.6パーセント)、3.7アシスト、2.6リバウンド。あくまで欠員が出たときの穴埋め的な立場のNBAでは、やはりプレー機会は限られるものの、2月1〜5日(現地時間)に行われたマイアミ・ヒート、ミルウォーキー・バックス、トロント・ラプターズとの3試合では合計20アシストと気を吐いている。
シュート精度が前年比でもやや下がっているのが気になるが、稀有なパスワークを武器に2つのリーグで随所にハイライトを生み出し、存在感をアピールしている。そのパフォーマンスについてNBAのあるベテランスカウトに尋ねると、「オフェンス面ではNBAでも貢献の術を見つけられる」という高評価が返ってきた。
「卓越したスピード、パス能力、コートビジョンを持ったPG。ボールを持ったときの動きは素早く、自ら得点するだけでなく、いつでもチームメイトを巻き込む手段を窺っている。卓越したボールハンドリングで相手ディフェンダーをアンクルブレイクすることもできる。状況判断能力に優れ、献身的であるがゆえ、どんな選手とも一緒にプレーできるのが長所だ」