「忘れられない景色になった」 村岡桃佳、復帰戦でつかんだパラ通算10個目のメダル
昨年4月に右肘脱臼、さらに11月には左鎖骨骨折という大きな怪我を乗り越え、約1年ぶりの復帰戦。コンディションを優先して滑降は欠場を選択し、臨んだスーパー大回転で、日本のエースは再びパラリンピックの表彰台に立った。
怪我、恐怖、不安……それでも戻ってきたパラリンピック
スタート位置に立った瞬間の景色は、村岡にとって特別なものだった。
「まずはこのパラリンピックの舞台に戻ってこられたこと、きちんとスタートに立てたことが嬉しかった。スタートからの景色を見て『これはまた忘れられない景色だな』と思いました」
パラリンピックのスタートの景色は印象的で、過去大会の景色も全て覚えているという。
村岡は現地時間3月7日に開催された滑降のレースを欠場したが、他の日本人選手が滑る姿を観るために会場を訪れていた。観ている中で「果たしてこのコースを私は滑れるのだろうか」と不安を隠せなかったという。
実際、コースは起伏が激しく、ブラインド(次の旗門が見えない)の中飛び出さないといけない箇所が連続する難コース。さらに気候の暖かさによって雪質も変化し、コースの下部は春雪のようなシャバシャバな状態になっていた。
「チェアスキーは地形によって思ってないところで跳ねたりもする。すごく対応力が求められるコースでした」
そんな状況で村岡が選んだのは、攻めすぎない安全なレースだった。
「今の時点でこれ以上転倒などで怪我を増やすことはできない。セーブしつつも要所はしっかりおさえて滑りました」
出場の判断は前日
村岡は今大会と同じコースで怪我をしており、「本人の恐怖心はすごくあった。そんな中で本当によく頑張ったと思います」と、石井氏は村岡の結果と頑張りを称えた。
スーパー大回転においてはメダルではなく、「完走」を最優先の目標に設定していた。
「メダルを目指さなくてもいいから、まずこのコースでフィニッシュをすることを一番に考えて、GS(大回転)の練習だと思っていいよ、と送り出しました」
雪上復帰はわずか約1カ月前。それでも表彰台に立った村岡の滑りを、石井氏はこう評価する。
「おそらく本人の中では50%くらいの滑りだったと思います。でもおさえるところはおさえて、攻めるところは攻めるというベテランだからできる滑りだった」