バスケ日本代表の次世代PGは川崎から? 若手有望株と向き合う篠山竜青の思い

大島和人

37歳の篠山は川崎のキャプテンも任されている 【(C)B.LEAGUE】

 バスケットボール男子日本代表は2月26日と3月1日に「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選」のWINDOW2を戦い、1日の韓国戦を78-72の勝利で締めた。ポジティブな部分もあった2試合だが、一つ気になった部分がある。それはチームの世代交代で、さらにいうとポイントガード(PG)の高齢化だ。

 桶谷大ヘッドコーチ(HC)率いるチームのメインガードは齋藤拓実(名古屋D)で現在30歳。富樫勇樹(千葉J)が32歳で、安藤誓哉(横浜BC)は33歳だ。負傷もあってメンバーから外れた佐々木隆成(三遠)は29歳、テーブス海(A東京)も27歳だから、もう「若手」ではない。シカゴで奮闘中の河村勇輝も、この5月に25歳となる。司令塔は経験値の問われる仕事だが、それにしても日本バスケはこのポジションで若手の台頭が遅い。

 Bリーグの中で有望な若手PGが揃っているチームを一つ挙げるなら、それは川崎ブレイブサンダースだろう。米須玲音は東山高時代から全国区だった日本大出身のルーキーで、23歳になったばかり。岡田大河は中学卒業後にスペイン、フランスとヨーロッパの武者修行をして帰国した21歳だ。この二人は既に選手起用のローテーションにも入っている。

 3月7日と8日に東急ドレッセとどろきアリーナで開催された滋賀レイクス戦は、相手にも1月末のドラフトで1巡目全体4位の指名を受けた岩下准平がいて「新世代PGの観察」には最適の試合だった。

米須が流れを変えた7日の滋賀戦

 7日の試合は米須が素晴らしいプレーを見せた。第1クォーター残り4分41秒、4-12とリードされた状況でコートに入ると、3ポイントシュート、スティールとビッグプレーを連発。相手が踏み込んで圧をかけてくると、米須はゴール下にスキップパスを飛ばしてドゥシャン・リスティッチの「高さ」を活用する。彼を中心にしたオフェンスが面白いようにハマり、川崎は前半を47-26の大量リードで終えた。

 この試合の米須は23分26秒の出場で12得点6アシスト、2スティールの大活躍を見せた。ターンオーバーも0で、この試合の主役は彼だった。

 川崎の勝久ジェフリーHCは、川崎の若手PGについてそれぞれの強みをこう述べる。

「(米須)玲音のいいところは『走ればパスが来る』『空いているスペースに動けばパスが来る』ことです。横の空間でも、縦の空間でも、そこを見てくれている。(岡田)大河はスクリーンなしで、プレッシャーに対して自分で割って入っていける強さがあります」

 第1クォーター半ばから第2クォーターの攻勢についてはこう説明していた。

「まず玲音が入ってきて強気にシュートを打ったのは一つ大きかったと思います。以前はシュートがセカンドオプションになっていたのが、今日は迷いなくファーストオプションになっていて、それがチームを乗らせました」

米須の可能性と課題

7日の米須は「シュートファースト」の姿勢が奏功した 【(C)B.LEAGUE】

 米須の「パス能力」「アシスト」は、東山高時代から別格だった。コートの隅々まで見通せる戦術眼があり、そこに強く正確なパスを通せる。ただ相手がパスコースを消す、受け手を封じる守備をしてきたときのシュートに関して、米須には「打たされている」感覚があったようだ。

 しかし米須は7日の試合で3ポイントシュートを「6分の4」(66.7%)の高確率で決めている。

「自分が今シーズンの課題としていたのは得点で、今日もまずシュートファーストでいこうと思って入りました。パスファーストになってしまうと、どうしてもシュートがズレてしまう。まず狙って、そこで入らなかったりしたらドライブに切り替えたり、いろいろ選択肢があります」

 もっともプロバスケの世界では、何か一つのプレーがハマればそれをすぐ封じられる。PGは相手の守備の変化を見極めて、時々の「正解」を迅速に選択しなければならない。7日の試合も、第3クォーターは滋賀の流れだった。米須はこう反省する。

「2、3ポジ(SG/SF)にガードではない選手が出た場合に、最初はビッグマンのスクリーンを呼んで(プレッシャーを)回避しようと思ったんですけど、トラップを仕掛けられる怖さがあって、(ザック・)オーガスト選手のところでショー(前に詰める対応)を出られたときに止まってしまった。自分でしっかり、広いスペースの中で運べたら良かったのではないか?と、試合が終わって感じたことです」

 さらに8日の試合は出場10分03秒、0得点0アシストと完全に不発で、チームも56-79で敗れている。逆に岡田大河は7得点2アシストを記録し、出場時間も17分56秒と多かった。守備の変化に対応できなければ、出来が悪ければ、前日のヒーローでも出番が減る。それがプロの世界だ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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