あと一歩届かなかった表彰台 日本パラスノーボードチームがクロスで残した存在感

スポーツナビ

スノーボードクロスの競技を終え、写真に納まる(左から)後田風吹、岡本圭司、小栗大地、小須田潤太、坂下恵里、市川貴仁、大岩根正隆 【写真は共同】

 ミラノ・コルティナパラリンピックのパラスノーボード・クロス種目が現地時間3月8日に行われ、日本勢は男子下肢障害LL1クラスで小須田潤太が4位、小栗大地が7位、女子下肢障害LL2クラスでは坂下恵里が8位と3人入賞という結果となった。接触と判定が交錯するクロス競技らしい展開の中、日本勢はメダルにあと一歩届かなかったものの、次戦のバンクドスラロームへとつながる“存在感”を残した。

「やっぱりメダルが欲しかった」小須田潤太、攻めた末の4位

「いやーー、すみませんでしたというのが一番です」

 レース直後、小須田の口から最初に出たのは謝罪の言葉だった。

 日本のパラスノーボードチームが今大会目標として掲げているのは“メダル”。平昌大会で成田緑夢が表彰台に立ったあと、北京大会ではメダルなしに終わり、チームは再び表彰台へ戻るために準備を重ねてきた。その先頭に立ってきた一人が、2025年の世界選手権バンクドスラロームの王者であり、今大会では日本代表の旗手も務めた小須田だった。

 準決勝までは、その狙い通りのレースができた。しかし決勝では前を走る選手がインラインを塞ぐ想定外の形となったが、それでも小須田は攻めた。

 第4バンクで勝負をかけたが、カナダのタイラー・ターナーとの激しい接触が起き、ターナーは旗門不通過で失格。一方、小須田は3位でフィニッシュしたが、審判は「故意ではない進路妨害」と判定。結果はランク最下位扱い(表記としてはRAL)となり、4位となった。

「スタートは、腕の怪我の影響で前に出ることは難しいと分かっていたので、後ろについていた。準決勝などと同様に第4バンクでイン刺しにいくイメージでいた。でも思ったより前の選手がインラインにいたので、少し怯んでしまって、勝負をかけたがターンができなかった。それが敗因」と小須田は冷静に決勝レースを分析した。

 フィニッシュ後の判定について問われると、こう振り返った。

「自分が強引に突っ込んでいったのは事実。最近のレースでは失格やランク最下位になるジャッジが厳しくなっているのもある。自分がジャッジできる範囲ではないので、そういう判定を審判が下したのであれば受け止めるしかない。でも・・・やっぱりメダルが欲しかった」

 スポーツマンシップを感じさせる冷静さと悔しさが相まった言葉の後には、クロス競技の厳しさを知るスノーボーダーの発言も続けた。

「もう少し冷静な判断ができていればというのもあるが、1位を狙うにはあそこ(第4バンク)が勝負所と決めつけていたので、経験不足。きれいに言えば、攻めた結果がこうなった」

2人で決勝を狙っていた 小須田と小栗の“共同”の作戦

男子スノーボードクロス大腿障害決勝トーナメント1回戦を突破し、タッチを交わす小須田(左)と小栗 【写真は共同】

 この日の日本チームには、明確な作戦があった。

 下肢障害LL1クラスの男子準々決勝で小須田と小栗大地は同組。2人はスタートから前へ出て、そのまま1位、2位でフィニッシュした。実はこの展開は、事前に描いていた通りのものだった。

「スタートして2人で前に出て、そのあとは自分が少し前に出ると予想していたので、インを空けて潤太(小須田)に行かせて、1位2位で滑っていく作戦でした」と、小栗は2人で話していた作戦を語った。

 小須田と小栗の2人は「日本勢2人で準決勝を突破する」ことを前提に、細かなコミュニケーションを重ねてきた。

 小須田もレースを振り返る。

「大地さん(小栗)と同組になるというのは、前日の予選順位が決まってから分かっていたので、今日に向けてずっとコミュニケーションをとっていました」

 準決勝でも2人は同組。準々決勝と同様の作戦で挑んだが、中国の武中偉が予想以上のスピードで前に出た。

「予想以上に武が前に出ていて、作戦通りにいかなくなって、ガチンコ勝負するしかなくなりました」と、小栗は悔しさを滲ませながら振り返る。

 結果、小須田が1位で決勝進出。一方、小栗は第4バンクで膨らんでしまい、追い上げが届かず準決勝敗退。順位決定戦へ回ることとなった。

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