“過去一”の難コースに転倒者が続出 滑降で鈴木猛史が6位入賞、森井大輝は無念の途中棄権
スタート地点の気温は4.3度、フィニッシュ地点は6.5度。雲ひとつない青空が広がり、雪山の競技とは思えない暖かなコンディションの中行われた決勝は、途中棄権が続出する波乱のレースとなった。日本勢はそれぞれの思いを胸に“過去一”の難易度のコースに挑んだ。
6位入賞の鈴木猛史、攻め続けた先に見えた手応え
その難しさは結果にも表れ、男子座位では23人中12人、男子立位でも27人中8人が途中棄権または失格に。世界トップレベルの選手たちですら次々とコースアウトする状況に、会場は驚きに包まれた。
「コースの難易度的には過去一番だったと思う。ここで大会もやっているし、昨年練習もしたが、全く別のコースになっていた」
そう語る男子座位・鈴木猛史は完走を果たし、6位入賞。メダルには届かなかったが、過酷なレースの中で価値ある滑りを見せた。
スタート前に、鈴木の直前の3選手が連続で転倒し途中棄権となっていた。普通ならメンタル的に揺らいでもおかしくない場面だが、鈴木は違った。
「みんな攻めた結果の転倒だと思っていた。それくらい攻めの姿勢でいないと結果は残せない」
転倒しても仕方がない。そう腹をくくり、鈴木はスタート前に左胸を叩くルーティンを終えるとスタートゲートを飛び出した。公式トレーニングではコースに怖さもあり緊張していたが、本番は落ち着いていたという。だが結果は鈴木にとって少し悔しい結果に終わった。
「公式トレーニングより良いラインで滑れたが、最後、ゴール前ですごく膨らんでしまった。メダルを狙っていたので、結果としては悔しい」と振り返ると同時に、次のスーパー大回転に気持ちを向けた。
「いつもなら緊張で体が動かないこともある。でも今日はメンタルトレーニングの効果もあり、落ち着いてスタートできた。次の回転(スーパー大回転)でも今日みたいなスタートを切りたい」
滑りを終えて、器具への感謝も口にした。
「器具(チェアスキー)に助けられている部分は大きい。これを海外の選手が使ったらもっと速くなるんじゃないかと心配になるくらい(笑)」と、鈴木は笑いを交えながら取材対応を終えた。
7大会連続出場の森井大輝、攻めた末の転倒
滑りの前半ではトレーニングの成果もあり、攻めたライン取りでスピードも乗せられた。「タイムは伸びていたと思うし、あと少し伸ばしていきたいと思っていた」と手応えを感じていたという。
しかし、コース中盤でアクシデントが起きた。90度にコースが曲がる箇所で大きく曲がってしまったことで方向が甘くなり、「ジャンプの着地をしてからターンして修正すれば間に合うかなと思ったら、そのジャンプで思ったより飛び出てしまった」。森井は転倒し、そのまま途中棄権となった。原因は明確だったと振り返る。
「自分のライン取りの甘さが原因です。思ったより飛距離が出るから気をつけろと言われていたのに。でも今回は攻めた結果のミス。次につなげたい」
また、スタート前には少し怖さもあったというが、会場の応援が背中を押した。
「応援のおかげで怖さはなくなって、『よしやるぞ』という気持ちになれた。スーパー大回転もフィーリングとしては良いので楽しみにしている」