「初戦白星で日本戦へ、あわよくば…」のシナリオ崩れた台湾 切り替えに与えられた24時間で窮地脱せるか?

丹羽政善

五回、ロビー・パーキンスの2ランで先制された台湾 【Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images】

バザーナのアーチに東京ドームが静まり返る

 オーストラリアが五回に2点を先制してから、その後は両チームがチャンスを作りながら、無得点。

 こういう展開では、次に点を取ったほうが勝つ――というのがセオリーだが、そんな中で七回、2024年のMLBドラフトでいの一番で指名され、現在はガーディアンズ傘下のマイナーでプレーするオーストラリア代表のT.バザーナが、右翼席にアーチをかけた。

 打った瞬間にそれとわかる一発。快音がドームにこだました。

 あの本塁打について、「打った瞬間、歓声が湧き上がるかと思ったら、あまりにも静かだったので驚いた」とバザーナは苦笑したが、それはすなわち、ゲームの行方がほぼ決まったことを意味し、スタンドに詰めかけたファンの多くが言葉を失ったことでも、明らかだった。

七回、貴重なソロ本塁打を放ち、感情をあらわにするT.バザーナ 【Photo by Gene Wang - Capture At Media/Getty Images】

 かつて中日で「ディンゴ」という登録名でプレーしたデビッド・ニルソン監督も、「あれは大きな一発だった。あれで、かなり余裕ができた」と振り返った。

 試合後の会見で、「ショッキングな結果だと見ている人もいると思うが」と聞いたオーストラリアの記者に対し、五回に先制2ランを放ったロビー・パーキンスが、「いや、ショッキングだとは思わない」と反論したが、このオーストラリアの勝利をアップセットだと見る人は実際、少なくない。

 台湾は一昨年のプレミア12チャンピオン。オーストラリアは1勝4敗で、グループラウンドを突破できなかった。いまの台湾の勢いは、初戦で対戦する侍ジャパンの関係者でさえ、「彼らが初戦に快勝したら、日本にとっては厳しい戦いになるかもしれない」と話すほど。

 実際、立ち上がりは台湾が下馬評通りの力を見せ、試合を進めた。なんと言っても今年からソフトバンクに移籍するシュー・ルオシーが圧巻の投球。95マイルを超える真っ直ぐ、落差のあるカーブ、スプリットを軸にオーストラリア打線を翻弄した。メジャーからも声が掛かっていたようだが、十分にその力を示したのではないか。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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