復活を目指すパラアイスホッケー 上原大祐の考える「役割」と「未来」
10年バンクーバー大会で銀メダルを獲得した日本。しかし世代交代がうまく進まず、14年ソチ大会と22年北京大会は、出場すらできない低迷期が続いていた。
大舞台に舞い戻ってきた日本の選手たちに、ミラノの地でどんな戦いを期待するのか。また、パラアイスホッケーならではの魅力と戦術とは何なのか。バンクーバー大会のカナダとの準決勝で決勝ゴールを決め大金星に貢献した、元日本代表の上原大祐さんに話を伺った。
スレッジがもたらす「インクルーシブ」な真剣勝負
僕がこの競技で面白いと思うのが、「車いすではなくスレッジに乗っている」というところです。車いすバスケットボールや車いすテニスの選手は、普段から車いすに乗っているので、チェアスキル(競技用車いすの操作能力)も高いと思うんですよ。でもスレッジは全く別の乗り物なので、障がい者だからといってすぐに慣れるとも限らない。だからこそ、健常者と同じスタートラインで始められる楽しさもあるんですよね。
スレッジは2本のブレードの上に、バケットと呼ばれるシートが乗っかっているような形状をしています。選手は足を前に伸ばすようにバケットに座り、両手に2本のスティックを持ってプレーします。スティックは、片方の先端はパックを打つためのブレードになっていて、もう片方の先端は氷をかいて前に進むためにギザギザになっています。だから、選手たちは試合中、スティックを巧みに持ち替えているんです。
ルールはほとんど一般のアイスホッケーと同じで、リンクやゴールのサイズも一緒です。試合時間は一般のアイスホッケーが20分×3ピリオドなのに対して、パラアイスホッケーは15分×3ピリオドになっています。また、パラアイスホッケーならではのルールは、「ティーイング」というペナルティがあること。相手のスレッジに対して直角にぶつかるのは、危険行為と見なされています。
僕は小柄ですが、スピードとキープ力のある選手で、駆け引きが得意でした。パックそのものをめがけて奪いにいこうとすると相手に交わされてしまうんですが、相手の体にぶつかっていって体勢を崩すと奪いやすくなるんです。また、自分が当たられたときには、相手の力を生かしてスピードを上げられるようにするなど、体だけではなく頭を使ってプレーするように心がけていましたね。