「あの金で終わりじゃない」 川除大輝が挑む2度目の頂点と複数メダルへの覚悟

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パラノルディックスキー距離全日本大会のスプリント・クラシカルで優勝した川除大輝は、3大会連続出場となるパラリンピックでも飛躍を誓う 【写真は共同】

 2022年の北京パラリンピック・クロスカントリー男子10kmクラシカルで、川除大輝は金メダルを獲得した。2018年の平昌パラリンピックに続く2大会連続出場でつかんだ栄冠だった。そして彼は、2026年のミラノ・コルティナパラリンピックで3大会目に挑む。あの北京の勝利をどう受け止め、いま何を思い、何を目指しているのか。川除の率直な言葉を聞いた。

「メダルを取れるかどうか確信していなかった」

スポーツナビのインタビューに応じる川除 【スポーツナビ】

 「北京大会は正直、メダルを取れるかどうか確信はなかった」。川除はそう振り返る。当時の世界ランキングではロシア勢が1位から3位を占め、川除自身はクラシカルで4位から5位あたりに位置していた。フリーではロシアに加え、カナダ、フランス、ドイツの選手が上位に並び、簡単に表彰台を狙える状況ではなかった。

 そんな中、ロシア選手がロシアのウクライナ侵攻により出場できなくなった影響は大きかった。「もしロシア勢が出ていたらメダルを取れたかどうかは分からないという気持ちもあります」と正直な胸の内を明かす。

 それでも、「あの状況で一番強かったのは自分だったと思っています」と続ける。コロナ禍で観客は中国居住者のみと制限されていたが、「日本から届いた応援メッセージが本当に励みになった」と話す。

「あの金メダルがあったからこそ、もっと強くなりたいと思えました」

 金メダルは結果以上に、その後の川除の競技人生を大きく動かした。

金メダルが変えた意識と責任感

 北京以前について、川除は競技をする上で自分のことだけを考えていたという。結果を出すために何が必要か、自分のトレーニング、自分のコンディション、自分のレース運び。意識は常に自分自身に向けられていた。アスリートとして当然の姿勢ではあるが、金メダルという結果は、その視野を大きく広げるきっかけになった。金メダル獲得後、メディア出演やイベント参加を通じて周囲の支えを実感したからだ。「自分が競技をできているのは、本当に周りの方のおかげだと感じました」と、笑顔を交えながら改めて感謝を口にしていた。

 現在活動しているパラクロスカントリー日本代表は、8人から9人ほどの小規模なチーム。その中での役割も北京大会後に変化した。川除は「チームのために自分は何をできるかを考えるようになった」と口にする。注目と期待が増えたことで責任も増したが、それを前向きに受け止めている様子だ。

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