ホンダF1は開幕までに挽回できるのか 緊急会見から見えたことは

柴田久仁夫

ホンダF1に何が起きている?

緊急会見に登場した渡辺康治HRC社長 【(c)柴田久仁夫】

 渡辺康治HRC社長に久しぶりに会ったのは、都内の記者会見場だった。

 F1をはじめとするホンダのレース活動全般を担うHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)の社長を務める同氏は、ホンダF1のキーマンというべき存在だ。開幕前の合同テストでの不振を受けて、ホンダは緊急記者会見を開催した。渡辺社長はバーレーンテストから帰国したばかりだった。

 今季からアストンマーティンと組んだホンダだが、新車AMR26は連日のようにトラブルに見舞われ、総周回数もラップタイムも全11チーム中最低だった。「当然ですが、テスト現場の雰囲気はピリピリしてました」。会見が始まる前に少し雑談を交わした際、渡辺社長はそう言っていた。ただしその言葉とは裏腹に、表情に焦燥は見えない。ブレない司令官の顔だった。

 会見には渡辺社長と、エンジニアでもある武石伊久雄専務が登壇した。本来なら技術関連の取材対応は、ホンダ製パワーユニット(PU)の開発責任者である角田(かくだ)哲史主査がすべきところだが、今はHRC Sakuraでトラブル解決の陣頭指揮を執っているとのことだった。

ホンダのトラブル対策は?

バーレーンでテストの状況を見つめる渡辺社長 【(c)Honda】

 バルセロナでのシェイクダウン、続くバーレーンでの6日間のテストで、アストンマーティン・ホンダは多くの不具合に見舞われた。それらは具体的にどんなもので、ホンダは現時点でどんな対策を取っているのか。以下、会見での質疑応答を一部再現しよう。

――ホンダ製PUに、具体的に何が起きたんでしょう?

武石:想定以上の異常振動が見られました。その結果、バッテリーシステムにダメージを受けたことで車を止めました。PU側だけでなく車体側も原因究明をしている。HRCのベンチで走らせながら、解析、対策を進めています。

――レッドブル・ホンダ時代には、振動問題は起きていませんでした。

武石:複合要素が絡まっています。車1台分の理由ということです。ただしレッドブルで起きずに今回起きている理由は、まだ解明できていません。

――バルセロナでは、最高回転数を毎分11000に制限した。どんなトラブルだった?

武石:ランプラン(走行計画)も絡んでいました。決してエンジンが悪いから、回転を絞ったわけではない。

――アストンマーティンは今年から、自製ギアボックスを搭載している。その結果、駆動系に共振が出た可能性は?

武石:さっき言ったように、いろんな要素が絡み合っている。まだ原因はよくわかっていません。一つの部位だけ直せば、スパッと症状が収まるのかどうか。長引く要素も否定できません。

――ホンダ製PUは最低限のエネルギー回生ができていないと、エイドリアン・ニューウィ代表が発言したという報道があります。

武石:ホンダ側は直接言われていません。ランプランでそういうことだったんじゃないか。エンジン回転数を上げれば、当然出力も上がります。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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