侍ジャパンに求められる第2のヌートバー 米コーチが認めた"数値に出ない"アドバンテージとは?
数字で表せない「アンサン・ヒーロー」の存在感
ドジャースでいえば、今回のWBCにも出場している大谷翔平、山本由伸などはもちろんMVPと最優秀投手の有力候補だが、キケ・ヘルナンデス、ミゲル・ロハスらの存在も欠かせなかった。まさにワールドシリーズでの貢献がそれに値し、彼らこそがアンサン・ヒーローだった。
さて、その同じ視点で前回のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を振り返るなら、投手ではダルビッシュ有、野手ではラーズ・ヌートバーがそんな役割を担ったのではないか。
ダルビッシュは、3試合に登板(1先発)し、計6イニングを投げると、7安打、5失点(自責点4)、2三振。防御率は6.00で、およそ彼らしくない数字が並ぶ。しかし、準々決勝でも投げた彼が、決勝戦の終盤にブルペンへ向かったとき、鳥肌が立ったのは、ファンだけではなかった。フィールドにいた選手らも、奮い立たされたのではないか。8回からマウンドに上がると、カイル・シュワバーにソロ本塁打を被弾したが、宮崎からチームに合流し、若い投手らに惜しみなくアドバイスを送ったダルビッシュ。WBC全体を通じて、どれだけ彼の存在が、若い投手らの精神的支柱となったか。そこはもう、数字では測りきれない。
実際のところ、彼が選ばれたとき、数字だけを見れば、それほど戦力になるとは思えなかった。しかも、栗山英樹監督は、彼をスタメンで起用する方針だと話し、それがブレなかった。大会後、その理由を聞いたことがあるが、栗山氏はヌートバーの出塁率の高さと、人柄の良さを、選手の理由に挙げた。
「会ってみればわかる。そう思っていました」
実際、その通りだった。実は大会前の1月、あるつてを辿ってヌートバーにインタビューを申し込むと、あっさり応じてくれた。会うのも話をするのも初めてだったが、幼少期に祖父が経営するガソリンスタンドの近くで遊んだ思い出、いかに侍ジャパンに選ばれたことを誇りに思っているかを語ってくれた。彼がすぐに侍ジャパンのメンバー、また、日本のファンに受け入れられたのも、彼の謙虚で、明るいキャラクターゆえだろう。出塁率にしてもそう。なるほど、2022年、彼の打率は.228だったが、出塁率は.340。347打席で51個の四球を選んでいた。シーズン後半に限れば、打率は.240ながら、出塁率は.366だった。そしてWBCでも打率は.269だったが、出塁率は.424。派手さはないがリードオフマンとしては十分な働きで、また、守備でも中継プレーなどで基本に忠実な送球を行い、玄人を唸らせた。