チームに不可欠なピース――ユーティリティープレーヤーの価値

NPB歴代ユーティリティープレーヤーランキング 投手を含めた全ポジションを務めた超万能選手も

平尾類

過去には元木(左)、大和(右)らがユーティリティープレーヤーとして異彩を放ち、現役では牧原(中央)などが存在感を示す 【写真は共同】

 複数のポジションを守るユーティリティープレーヤーの存在価値が現代野球で高まっている。起用法の選択肢が多いため、緻密な戦略を練る首脳陣にとってはありがたい存在だ。ここでは、いくつのポジションを守ったか、守備力の高さ、ユーティリティープレーヤーとしての稼働年数、打撃や走塁面を含めてチーム内にどのようなメリットをもたらしたかなどを評価基準に、プロ野球の歴史を彩った有能なユーティリティープレーヤーを10人選び出し、ランキング形式で紹介する。

 なお、同時期にさまざまなポジションをこなすのではなく、コンバートによりキャリアを通じて複数の守備位置でハイレベルなパフォーマンスを見せた真弓明信(元阪神など)、石毛宏典(元西武など)、宮本慎也(元ヤクルト)や、投手とDHの投打二刀流で世界のトッププレーヤーとして活躍している大谷翔平(現ドジャース)は対象外とした。

10位:村林一輝(楽天)

当初は守備固めとしての起用が多かったが、いまや押しも押されもしない楽天の主力に。三塁、遊撃、二塁のいずれでも高水準のプレーを見せる 【写真は共同】

 ドラフト7位から這い上がった守備職人。ソフトバンクの今宮健太に弟子入りし、2019年から自主トレに参加して守備のイロハを学んだ。打球への反応速度、球際の強さ、強肩に磨きをかけ、内野のすべてのポジションを高水準で守る。

 24年に遊撃の定位置をつかんで、自身初の規定打席に到達した。大物新人の宗山塁が遊撃に入った昨年は、三塁に回ってゴールデングラブ賞を受賞。遊撃や二塁も守り、課題の打撃で最多安打のタイトルを獲得するなど大きく飛躍した。

 楽天には、内外野を守って長年活躍してきた鈴木大地がいる。28歳の村林には参考になることが多いだろう。全盛期はこれからだ。

9位:外崎修汰(西武)

2019~24年はほぼ二塁に定着したが、それまでは球界屈指のユーティリティープレーヤーとして鳴らし、侍ジャパンでも重用された 【写真は共同】

 遊撃でプロ入りしたが、2年遅れて西武に入団した同学年の源田壮亮が球界屈指の守備能力で遊撃の定位置をつかんだため、俊足を活かした広い守備範囲と強肩を武器に、二塁、三塁、外野の両翼などさまざまなポジションを守り主力選手に成り上がった。2019年以降は主に二塁を守り、ゴールデングラブ賞を2度受賞。昨年は三塁にコンバートされたが69試合出場で10失策を喫し、8月以降は外野で起用された。

 プロ12年目の今季、外崎自身は二塁の定位置奪取に闘志を燃やしている。若手成長株の滝澤夏央、日本ハムからFA移籍の石井一成との熾烈な競争となるが、以前の躍動感を取り戻せるか。

8位:岡本和真(ブルージェイズ)

巨人で不動の4番打者として君臨したが、他の選手との兼ね合いで一塁、三塁、左翼と守備位置は流動的で、どのポジションもそつなくこなした 【写真は共同】

 不動の4番打者は守備位置が固定されるケースが多いが、岡本は巨人で一塁、三塁を中心に外野も守った稀有なプレーヤーだ。自己最多の41本塁打で3度目の本塁打王に輝いた2023年のベストナイン投票で、一塁手部門が50票、三塁手部門が131票、外野手部門が2票と票が分散したため受賞を逃したことも。24年は自身3度目のゴールデングラブ賞を一塁で受賞したが、このシーズンもチーム事情で三塁を29試合、左翼を19試合守り、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 今年からMLBのブルージェイズでプレーする。複数のポジションを守れることは、異国の地で大きな強みになるだろう。

7位:森野将彦(元中日)

三塁や一塁、二塁、外野、キャリア初期には遊撃も務めるなどさまざまなポジションをこなしながら、長く中日打線の主軸を担った 【写真は共同】

 東海大相模高では天才的な打撃センスで世代屈指の強打者として名を轟かせたが、中日入団後は内外野のすべてのポジションを守る万能型の選手として存在価値を高めた。

 2007年はバッテリー以外の全ポジションを守り、53年ぶりの日本一の立役者に。主に一塁で起用された14年に自身初となるゴールデングラブ賞を受賞したが、プロ入り18年目での初受賞は当時の史上最遅記録だった。守備力強化のため春季キャンプで落合博満監督の2時間を超えるノックを受け続け、脱水症状で倒れ込んだエピソードは有名だ。

6位:大和(元阪神、DeNA)

阪神時代は外野や二塁をメインに、後にFA移籍したDeNAで主戦場となる遊撃でも高い守備力を見せてチームを支えた 【写真は共同】

 ゴールデングラブ賞を獲得したのは2014年の外野手での1度のみだが、本職の内野でも卓越した守備力で幾度もチームのピンチを救ってきた。巧みなグラブさばき、落下地点に入るスピード、そして捕球してから送球までの動作が速かった。

 印象的な場面が阪神時代、巨人と対戦した2014年のCSファイナルステージ第3戦だ。2点リードの9回二死で亀井善行(現巨人一軍外野守備兼走塁コーチ)の左中間に抜けようかという打球を背走しながらダイビングキャッチ。好守を何度も見せ、巨人で攻守の要だった阿部慎之助(現巨人一軍監督)が「CSは大和君で負けた」と漏らすほどだった。

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著者プロフィール

1980年4月10日、神奈川県横浜市生まれ。スポーツ新聞に勤務していた当時はDeNA、巨人、ヤクルト、西武の担当記者を歴任。現在はライター、アスリートのマネジメント業などの活動をしている。

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