バドミントン桃田に対する「消せない期待感」 日本代表に圧勝でリーグ優勝に貢献

平野貴也

所属するNTT東日本の11年ぶりのリーグ優勝に貢献した桃田(中央) 【平野貴也】

 日本代表を引退してもなお、桃田賢斗は輝きを放つ。国内最高峰のバドミントン団体戦S/Jリーグは、3月1日にブロックリーグ上位が集うTOP4トーナメントの決勝戦を行い、男子はNTT東日本が2-1でBIPROGYを破り、日本リーグ時代の2014年以来11年ぶりの優勝を飾った。NTT東日本は、第1ダブルスを落としたが、シングルスに出場した元世界王者の桃田が、現役日本代表の渡邉航貴を21-18、21-7のストレートで撃破。桃田の劇勝は、日本一につながることを望む期待感を強め、会場の雰囲気を変えた。

 最後の第2ダブルスは、川前直樹監督が「ポテンシャルは、相手の方が上」と不利を想定していたカードだったが、大きな追い風を受けた武井優太/遠藤彩斗が勢いに乗って勝利。遠藤は「(第1ダブルスが)負けて(会場を)出てアップに行った。(試合順が来て会場に)帰ってきたら空気が違った。やっぱり、あの人はすごいんだなとあらためて感じました」と笑顔で話した。

日本代表を引退後、スポット参戦で強さを堅持

 桃田が試合に出場する機会は減っている。2018年、19年に世界選手権を連覇した時期は、大会に出る度に勝利を挙げ、東京五輪の金メダル候補として何度も大きく報じられた。しかし、20年1月に交通事故で重傷を負ってから、国際大会では成績が下降。24年に日本代表を引退し、主戦場としていたBWFワールドツアーなどから身を引いた。25年からは所属するNTT東日本でコーチを兼任しており。国内大会でも出場数は少なく、後輩のサポートをする姿の方が多くなっている。

 一方、昨季のS/JリーグTOP4トーナメント準決勝でも渡邉を破るなど、スポット参戦でありながら強さは堅持している。25年12月には、中国で開催された非公式戦の招待大会「King Cup(キング・カップ)」に参加し、世界ランク1位の石宇奇(中国)と対戦。19-21、15-21で敗れたが、堂々と渡り合う姿を国外でも示した。今でもまだ強いということは、多くのバドミントンファンが知るところではあるが、この日の試合内容は、想像を上回るパフォーマンスだった。桃田と親交の深い渡邉はKing Cupも見たというが「あれとも違う。速い。上げたら(強打を)打たれる。落としたら(速い球で下から頭上を越されて)あおられる。こんなに攻めて来るのかと思った。こんなイメージはなかった」と脱帽だった。

ひたすら攻撃に出た背景、団体戦のエースとしての強み

強打を打ち下ろすシーンが多かった 【平野貴也】

 桃田と言えば、抜群のシャトルコントロールが最大の武器。ネット前からネット前に急角度で落とすヘアピンショットやレシーブが印象的だ。全盛期には、相手のエースショットを、取りにくいネット前に沈め返して手玉に取った。しかし、今回の試合では、まったく守りに入らず、相手の返球に早いタイミングで飛びつき、上から打ち下ろす攻撃的なショットを連発。打球速度が出にくい環境だったが、連打を想定した連続性のある動きで攻守交代を許さずに攻め立てた。

 長く、団体戦でもエースとして戦ってきた男がこだわったのは、プレースタイルではなく、試合への入り方だった。桃田は「この局面で守っている余裕はない。力を出し切って休憩して、出し切って休憩しての繰り返し。いつかバテたら仕方がない。団体戦で第1ダブルスを取られたら、見ている人(が感じる)以上に、流れが向こうにある。それを取り返しに行くには、それくらい覚悟を持ってやらないとダメ」と説明。ペース配分を考えずにラッシュを仕掛け、相手を困惑させることで団体戦の流れそのものを変える狙いを見事に体現した。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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