キーパーソンは鈴木淳之介、瀬古歩夢、佐野航大……森保ジャパンのユーティリティープレーヤー活用術
外ズレのパターンで鍵を握る万能の守備者
いつ、どこで、何が起きるか分からないのが勝負の世界。だからこそ、多彩な人材をそろえ、変化に動じぬチームは強い。その“多様性”を担保する存在が、いわゆるユーティリティープレーヤーだ。
当然ながら、今夏の北中米W杯に挑む森保ジャパンにも複数のポジションに適応し、さまざまな役割をこなす人材が少なくない。ベスト8の壁を突き破る上で、彼らをどう生かすべきか。戦術オプションの広がりに目を向けながら、その可能性を探ってみたい。
まず、触れたいのが布陣である。森保一監督は強化の過程において、3バック(3-4-2-1)をベースにしてきた。もっとも、4バックの構想を持っていないわけではない。前回の2022年カタールW杯ではベースの4-2-3-1からメンバーを組み替え、3-4-2-1のオプションを試みたが、今回は人選を変えずに3バックと4バックを併用するのが理想だという。
考えうるオプションは主に2つある。1つはウイングバックの一方を最終ラインに下げ、同サイドのシャドーがウイングへ移行する外ズレのパターン(A)。もう1つは2シャドーの一角をボランチに下げて、2ボランチの一角を最終ラインまで下げる縦ズレのパターン(B)だ。幸いにして、今の日本にはA、B両パターンに対応しうる人材がそろっている。
まず、パターンAのキーパーソンとなるのが鈴木淳之介だ。日本代表では主に3バックの一角を担うが、ボランチを含め、守備的なポジションならどこでもプレーできる万能型。所属先のFCコペンハーゲンでは右サイドバックでも使われている。本人も足元の技術には自信を持っており、ボールを運ぶ力も秀逸。しかも、快足だ。おまけにサイド(左右)を問わない。したがって、ウイングバックの一方に据えれば、いつでも4バック(鈴木+3バック)に移行できるわけだ。
厳密に言うと、鈴木と同サイドのシャドーがウイングに移行。3バックも鈴木と同サイドの選手が2センターバックの一角、逆サイドの選手がサイドバックに移行するが、その人材にも困らない。例えば、鈴木を右ウインバックで使うと仮定した場合、右シャドーが久保建英や堂安律、3バックの右が冨安健洋や渡辺剛、同左が伊藤洋輝ならば、難なく4バックへシフトできる。
逆に鈴木を最初から4バックの右に据えれば、攻撃の局面でボランチ脇に上がり、ビルドアップに絡む《偽サイドバック》としても使えるかもしれない。それくらいの幅を持った選手と言っていい。
大型ボランチとして覚醒しつつある瀬古
彼らを同時に3バックで使った場合、鎌田をシャドーからボランチ、瀬古をボランチからセンターバックに下げれば、4バックに移行しやすい。前述した鈴木や伊藤のように3バックの左右がサイドバックもこなす人材なら、瀬古をセンターバックで使える。
もっとも、森保体制下で、このパターンBが試されたケースは一度もない。したがって、現時点では可能性の1つにすぎないが、瀬古のボランチ起用を含め、本大会までに一度はトライしてみる価値がありそうだ。
3バックと4バックの併用には対戦相手との兼ね合いを含め、その狙いは多岐に渡る。その点、分かりやすいのが攻撃、あるいは守備を重視した術策だろう。
例えば懸案の“ブロック崩し”を試みる際、単騎突破に秀でた面々をずらりと並べるのも一案。そこでキーパーソンになるのが三笘薫、中村敬斗、伊東純也、堂安だ。これまで3-4-2-1のワイド(=ウイングバック)で使ってきた彼らをシャドーの一角に据えて、ボックス内にガンガン切り込ませる。PKの獲得も狙いの1つだ。
指揮官はこれまでのテストマッチにおいて、彼らをワイド一辺倒ではなく、インサイドでも試してきた。左サイドに三笘と中村、右サイドに堂安と伊東。彼らが中と外をめまぐるしく行き来しながら、機に乗じて単騎突破を狙うオプションも十分に考えられるはずだ。
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