可能性を見せつつ中国に逆転負け バスケ日本代表、桶谷HCの初戦から見えた課題

大島和人

桶谷体制初戦となる日本代表は80‐87で敗れた 【(C)FIBA】

 バスケットボール男子日本代表は2月26日、沖縄サントリーアリーナで「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選」の中国戦を戦った。チームは2月3日に新ヘッドコーチ(HC)として桶谷大を迎えたばかり。代表と琉球ゴールデンキングスを兼務する指揮官にとっては「ホーム」での初陣だった。

 日本は開始早々から攻守とも流れをつかみ、47-33と大きくリードして前半を終えた。しかし第3クォーターに13-0のラン(連続得点)を許すなど崩れて逆転を喫し、第4クォーターも残り5分の勝負どころで差を広げられた。“桶さん”の初陣は80-87の敗戦だった。

 アジア地区予選は合計16チームがまず4グループに分かれて戦う方式で、日本は中国、韓国、チャイニーズタイペイと同じグループBに属している。26日の結果を受けて、日本と韓国が2勝1敗、中国とチャイニーズタイペイは1勝2敗と混戦状態だ。

大きく変わった選手起用

 中国戦の序盤から、桶谷色は出ていた。第1クォーター残り6分5秒でセンターのアレックス・カークを下げ、シェーファーアヴィ幸樹を起用。そのまま小まめな入れ替えを繰り返し、第1クォーターは登録された12名のうち11名がコートに立った。第2クォーターの頭には「12人目」の富樫勇樹がコートインをして、全員出場が早々に実現した。

 前任のトム・ホーバスHCは昨年12月1日のW杯予選・チャイニーズタイペイ戦でジョシュ・ホーキンソンを40分、渡邊雄太を37分起用している。桶谷HCはプレータイムをシェアする(なるべく均等に分ける)方向性で采配を振るっていた。

 48歳の指揮官は試合後の記者会見でこう語っている。

「前半で全員使っていますよね? その中で、後半どのメンバーを使えるか探るのは、いつも僕がやっているところです。それを代表の中でも1回やってみて、どの選手がハマるか、見極めながらやったつもりです」

 帰化選手(※16歳以降に国籍を変更した選手は規定により1名しか起用できない)の枠にホーキンソンでなくカークを起用した理由については、こう説明していた。

「合宿があって、短い練習期間だったんですけど、コンディションを見たときに、間違いなくアレックス(・カーク)のほうが良かった」

 前半の日本はフリースロー、3ポイントシュートこそ低調だったが、2ポイントシュートを高確率で決めていた。ターンオーバーもわずか「3」で、ボールをよく動かしていい形でシュートに持ち込めていた。リバウンドも互角以上だった。

 中国はセンターに胡金秋(#21 フー・ジンチュー)という211センチの万能選手がいて、同ポジションの二番手は221センチの余嘉豪(#11 ユー・ジャーハオ)だ。サイズ的には日本を大きく上回る相手だ。また2023年のW杯に限れば日本に「アジア最上位」を譲ったが、1980年代から常に日本の格上として君臨し続けていた相手でもある。

 それでも前半は誰が出ている時間帯でも崩れることがなく、苦戦が予想されたゴール下の強度、バトルでも相手に渡り合っていた。そこは頼もしく感じられた要素だ。

中国の伏兵、戦術変化に後手を踏む

廖三寧(写真中央)のプレーに日本は手を焼いた 【(C)FIBA】

 しかし後半の日本は大きく崩れた。相手側の視点に立つなら、中国が日本の選手起用と試合運びに対して鮮やかにアジャストをした。

 日本は前半から中国のエース趙睿(#8 ダオ・ルイ)を警戒し、チーム全体で彼の強みを出させないような手を打っていた。一方セカンドユニットとして起用されていた廖三寧(#5 リャオ・サンニン)が後半は“やりたい放題”の状態になっていて、さらにいうと彼と胡金秋のホットライン、ピック&ロールを日本は止められなかった。

 廖三寧は胡金秋のスクリーンを使いつつ、中央からドリブルでゴール下に侵入してくる。彼のドライブは強烈だが、そこを抑えようとすると胡金秋が空く。この2人をまとめて抑えに行くと、今度は外のシューターがオープンになってしまう。結果として廖三寧は16得点5アシストを記録し、胡金秋は「10分の9」という高確率で2ポイントシュートを決めた。

 カークを筆頭にした日本のインサイドはピック&ロールのディフェンス(DF)に巻き込まれていた。さらに相手のインサイドショットが決まったことで、DFリバウンドの確保が前半に比べて大きく減った。

 原修太はこう振り返る。

「趙睿選手は上手く守れていたのですが、要所で相手の4番(趙継偉/ダオ・ジーウェイ)に3ポイントを打たれてしまって、そこの対応がちょっと難しかったです。廖三寧選手はピック&ロールを使って、スマートにプレーしているので、そこもやられてしまいました」

 もう一つ日本が最後まで「答え」を出せなかったのが、中国のスペインピックへの対応だ。ハンドラーに対して「2人目のスクリーン」が入ってくる変則ピック&ロールだが、その対応に混乱があった。

 攻守の流れは連動している。西田優大はこう説明する。

「前半はノーマークのシュートもうまく作りながら、それが入らない中でもペイントで打開できていた。それがあったからこそ、DFの流れにもつながっていたと思います。後半はそれができなくなったタイミングで、僕たちのターンオーバーも増えて走られた。それが今日のゲーム展開かなと感じています」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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