チームに不可欠なピース――ユーティリティープレーヤーの価値

J1百年構想リーグで異彩を放つマルチタレント10選 1位に輝いたのは前橋育英高時代からサッカーIQの高さが際立った――

土屋雅史

1月のU23アジアカップで得点王とMVPをダブル受賞した佐藤もJリーグ有数のユーティリティープレーヤー。FC東京で定位置をつかみ、W杯出場を勝ち取るか 【(C)J.LEAGUE】

 戦術が多様化・高度化した現代サッカーにおいて、複数ポジションに対応可能なポリバレントプレーヤーは、ますますその存在価値が高まっている。Jリーグにおいても、もちろんそれは例外ではない。ここでは、開幕して間もないJ1百年構想リーグで必見のマルチタレント10人を識者が厳選。ランキング形式で紹介する。なお、対象は1クラブから1人とした。

10位:前貴之(千葉/32歳)

守備的なポジションならどこでも器用にこなす経験豊富なベテラン。自身にとっても久々のJ1の舞台で早くも存在感を示している 【(C)J.LEAGUE】

 コンサドーレ札幌U-18時代から両サイドバックやボランチなどさまざまなポジションでプレーし、早くからユーティリティーぶりを発揮。トップチーム昇格後はセンターバックも経験し、レノファ山口FCと松本山雅FCでの奮闘を経て、守備のマルチロールとしての評価を不動のものとした。

 昨季から加わったジェフユナイテッド千葉では左サイドバック起用が主だが、今季の開幕2試合はボランチで先発出場を果たしており、久々のJ1を戦うチームに守備の安定をもたらす役割を担っている。

9位:郷家友太(神戸/26歳)

仙台に在籍した3シーズンでチーム得点王に2度輝くなど、最前線でも結果を残す。4年ぶりに復帰した神戸でFW起用はあるか 【(C)J.LEAGUE】

 ヴィッセル神戸での第1次在籍時(2018~22年)に、セルジ・サンペール、山口蛍、アンドレス・イニエスタといった歴戦の兵と中盤で好連携を築いた一方で、23年に加入したベガルタ仙台ではFWも含めたより高い位置でのプレー機会が増加し、ゴールとアシストを量産した。

 自分と味方を生かすスペースを見つける感覚に優れ、4年ぶりに古巣復帰を果たした今季も4-3-3を敷くチームの中で、複数ポジションでの活躍が期待される。開幕の京都サンガF.C.戦ではインサイドハーフを任された。

8位:岩崎悠人(長崎/27歳)

爆発的な推進力で攻撃に勢いをもたらすサイドアタッカー。今季加入の長崎ではウイングバックとして開幕から2戦連続でスタメン出場を飾った 【(C)J.LEAGUE】

 京都橘高校時代は抜群のスピードと優れた得点感覚を有したストライカーとして鳴らし、プロ入り後も2列目より前に置かれることが多かった。しかし、サガン鳥栖で師事した川井健太監督がウイングバック起用に踏み切ったことで、持ち味のドリブルをより効果的に活用できるサイドアタッカーとして覚醒。日本代表まで駆け上がった。

 今季加入のV・ファーレン長崎ではここまで左右のウイングバックでプレーし、チームに大きな推進力をもたらしている。

7位:橘田健人(川崎F/27歳)

ボランチをメインに、サイド起用にも応えるユーティリティーだ。昨年11月に手術した右足関節の怪我も完治し、今季第3節で初先発 【(C)J.LEAGUE】

 本職がボランチであることに疑いの余地はないが、22年に当時の川崎フロンターレの台所事情から左サイドバックを務めたことで、以降は左右のサイドバック起用がチームのオプションとなった。

 圧倒的なスタミナと相手へしつこく行き続けられる守備の強度は、どのポジションに入ってもデフォルトで披露でき、昨季は左サイドハーフで先発起用された試合も。スタメンでも交代カードでも常に計算できる選手として、長谷部茂利監督の信頼を勝ち取っている。

6位:中島元彦(C大阪/26歳)

仙台から古巣復帰1年目の昨季もCF、トップ下、ボランチをマルチにこなしてフル稼働。今季は柴山昌也とトップ下の定位置を争うか 【(C)J.LEAGUE】

 セレッソ大阪でのプロ入り時はFW登録も、U-23の一員としてJ3に出場していたルーキーイヤーに当時の大熊裕司監督がボランチと併用。パンチ力のあるシュートと前に運べるドリブルを生かしながら、プレーエリアを格段に広げた印象だ。

 22年から3シーズンを過ごしたベガルタ仙台でもボランチとFWをこなしてブレイク。現在も中盤より前のあらゆるポジションに対応しているものの、適性は今季開幕戦の大阪ダービーでも起用された1トップ下か。

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著者プロフィール

1979年8月18日生まれ、群馬県出身。高崎高3年時にインターハイでベスト8に入り、大会優秀選手に選出される。2003年に株式会社ジェイ・スポーツへ入社。サッカー情報番組『Foot!』やJリーグ中継のディレクター、プロデューサーを務めた。21年にジェイ・スポーツを退社し、フリーに。現在もJリーグや高校サッカーを中心に、精力的に取材活動を続けている。近著に『高校サッカー 新時代を戦う監督たち』(東洋館出版社)がある。

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