どうしたアストンマーティン・ホンダ? 大不振の原因とは

柴田久仁夫

最低の周回数、最低のラップタイム

今季も引き続き、ホンダF1のレース現場を統括する折原伸太郎エンジニア 【(c)HondaF1】

 アストンマーティン・ホンダが、F1開幕前から大不振にあえいでいる。

 バルセロナとバーレーンで、計11日間行われたオフシーズンテスト。全11チームが参加する中、アストンマーティン・ホンダはほぼ連日トラブルに見舞われ、総周回距離、ラップタイムともに最下位に沈んだ。

 周回距離トップだったメルセデスが6202kmだったのに対し、アストンマーティン・ホンダはほぼ3分の1の2115km。速さでも、フェラーリのシャルル・ルクレールがバーレーンで1分31秒992のトップタイムを出したのに対し、フェルナンド・アロンソは1分36秒536で最下位だった。開幕前テストのラップタイムは、確かに当てにならないことが多い。しかしアストンマーティン・ホンダがまともにロングランもできず、新たなシーズンに向けての準備が大きく出遅れている状況にあることは間違いない。

 いったい彼らには、何が起きているのだろう。

準備は入念だったはずだが

新たなホンダF1パワーユニットの開発責任者、角田哲史エンジニア 【(c)柴田久仁夫】

 アストンマーティンがホンダとのパートナー契約を正式発表したのは、2023年5月のことだった。すでにこの時点でホンダは、2026年から新たに導入される全く新しいパワーユニットの開発にも着手していた。発表会の翌月にホンダの開発拠点HRC栃木を筆者が訪れた際には、統括責任者の角田哲史エンジニアが、「エンジン、モーター、バッテリー、全てが新開発で、難易度は非常に高いです」と言いつつも、表情には自信が窺えた。

 しかし今回のテストでは、不具合は車体よりもむしろパワーユニットに集中した。各チームが本格的な走り込みを開始したバーレーンの第1週テストでも、アストンマーティンはエンジン回転を毎分11000に抑えた走行に終始。さらに第2週には初日からパワーユニットにトラブルが頻発した。アロンソは初日28周しか走れず、2日目はコース上でストップ。最終日のランス・ストロールはタイム計測なしのわずか6周でテストを切り上げた。ホンダはテスト終了後、トラブルが「バッテリー関連だった」ことを明らかにした。

 ホンダ製パワーユニットがここまで苦しむとは、実に意外であり、驚きしかない。去年までのパワーユニットとは大きく変わったとはいえ、V6ターボハイブリッドという基本構造は変わっていない。マックス・フェルスタッペンの四連覇に大きく貢献した技術的優位が、こんなにもあっけなく雲散霧消してしまうものか。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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