WBC2026、ルール改正と大会フォーマットの変更 連覇を目指す日本にとってどんな影響があるのか
ピッチクロックを気にしすぎて本来の投球や打撃ができないのは…
なかでも最も大きいのは、ピッチクロック(ピッチタイマー)だろう。投球動作を開始するまでの制限時間は、塁上に走者がいない時が15秒、走者がいる時は18秒だ。超過した場合は、1ボールが宣告される。
日本チームの投手のうち、メジャーリーグで投げている菊池雄星、山本由伸、菅野智之の3人は、ピッチクロックを経験している。だが、あとの投手にとっては初のピッチクロックとなる。捕手は3人とも未経験だ。
すでに、ピッチクロックを想定した練習は行っている。ダルビッシュ有もアドバイザーとしてチームに加わっているので、アドバイスを受けることはできる。けれども、実際に試合で対応できるのかどうかについては疑問も残る。
たとえば、2024年にメジャーデビューした山本の場合、2024年と2025年のピッチクロック違反は5度→2度と減少した。回数だけでなく、頻度も大きく下がっている。違反1度当たりの投球数は、351.2球→1659.0球だ。
サンプル数としては少ないものの、メジャーリーグ1年目よりも2年目のほうがピッチクロックに適応しているという見方もできる。となると、適応には時間を要する可能性もある。ちなみに、メジャーリーグでのピッチクロック導入1年目の2023年は、有走者時の制限時間が20秒だった。
ピッチクロックに対応しなければならないのは、バッテリーだけではない。打者は残り時間が8秒を切るまでに構えないと、1ストライクとなる。こちらの経験者は、大谷翔平と鈴木誠也と吉田正尚の3人だ。昨年の夏、鈴木はピッチクロック違反で3ストライク目を宣告され、三振を喫したことがあった。
とはいえ、ピッチクロックを気にしすぎて本来の投球あるいは打撃ができないのは、本末転倒だろう。何度も使えるわけではないが、タイムをとってピッチクロックを止め、再び0秒からスタートさせる方法もある。
周東をスタメン起用するか代走要員として温存するか
ピッチコムの使用は、ピッチクロックの時間超過を防ぐのに役立つかもしれない。だが、操作に手間取ってしまうと、かえって時間をロスすることになりかねない。
メジャーリーグでは、ほとんどのバッテリーがピッチコムを使用している。とはいえ、使用率は100%ではない。WBCでもマストではなく、操作がスムーズにいかないようであれば、ピッチコムではなく従来の方法でサインを伝えたほうが時間はかからず、いい投球につながることも考えられる。
なお、2026年からメジャーリーグが採用するABS、いわゆる「ロボット審判」は今回のWBCでは導入されない。これまでの流れからすると、2029年か2030年のWBCからではないだろうか。日本チームの捕手は、若月健矢も坂本誠志郎も中村悠平もフレーミングに長けている。
牽制球の制限も、新ルールの1つだ。1打席につき、投手が制限なく牽制を試みることができるのは2度まで。牽制球を投げるだけでなく、プレートを外す行為も回数に含まれる。3度目を試みても構わないが、アウトにできなかった場合、走者は先の塁へ進む。こちらも、捕手は重要になる。投手と違い、捕手の牽制に回数の制限はない。
投手の牽制が限られるということは、もう一方の側面もある。走者は大胆にリードをとることができ、盗塁を決めやすくなる。そのうえ、ベースの一辺が15インチ(約38.1センチ)から18インチ(約45.7センチ)に拡大され、ほんのわずかながら塁間は狭まる。
日本チームの選手で2025年に15盗塁以上を記録したのは2人、日本プロ野球で35盗塁の周東佑京とメジャーリーグで20盗塁の大谷だ。周東をセンターのスタメンとして起用するのか、代走要員として温存しておくのかは判断が難しいところだろう。