なぜ日本は勝ち続けたのか? ミラノ五輪スノーボード躍進を支えた5つの要因
前回の北京五輪、日本のスノーボードのメダルは3個だった。そこからミラノでは9個と、わずか4年で3倍に増えた。では、なぜここまで勝てたのか。
「日本が強すぎるせいで採点の傾向が変わった」話もでるほど、その存在感はもはや世界の脅威になっている。いま日本は“スノーボード大国”と呼ばれる段階に入った。今回は、女子ビッグエア金メダルの村瀬心椛、男子スロープスタイル銀メダルの長谷川帝勝らを指導する阪西翔コーチの言葉を手がかりに、日本躍進の背景を5つの観点で整理してみたい。
選手ごとの”個別最適化”
象徴的なのが、選手ごとの最適化。これまでは「チームとして大会に出る」が前提になりやすかったが、今は必要なら大会を見送り、練習を優先する判断も取りやすくなっていた。村瀬も時に大会出場をキャンセルして、練習に集中できる時間と場所を作ったこともあったという。
SAJ(全日本スキー連盟)が定める代表活動のルールや縛りが、以前より和らいできたことも追い風になった。選手が自分の強化ルートを選びやすくなり、こうした“個別最適の許容”が、結果としてチーム力の底上げにつながった形だ。
施設の優位を“工夫”で更新
ただ、その“優位”は永遠ではない。海外でも同様の施設が増え、とくに中国には北京五輪のビッグエアと同等のスペックを持つ施設があり、サイズも日本国内より大きいと言われている。つまり、日本だけが恵まれている時代は終わりかけていた。
ここで光ったのが、国内外の施設利用を組み合わせるという日本チームの工夫だ。ビッグエア男子で金メダルを獲得した木村葵来は月1ほどで中国に練習に行き、村瀬も1週間の遠征を複数回組むなど、中国の大きな台を活用。村瀬が今大会で出さなかった1620(4回転半)も、そこで磨いていたという。
阪西コーチの狙いはシンプルで強い。
「まず大きいジャンプで慣れて空中感覚を掴み、そのあと日本の少し小さめの台でも同じ技を再現できるようにする」
台の大小に左右されず、同じ技を“同じ精度”で出す。ここで必要になるのが調整力だ。実際、今大会は「ビッグエアの台が想定より小さかった」「スロープスタイルもつなぎがタイトで大技構成が組みにくかった」といった話が飛び交った。条件がブレたときに合わせ切る力は、こうした練習の積み重ねから生まれていた。