高木美帆が見せた誇り高きスケーティング 最終目標だった1500m、無心で滑ったラスト半周

沢田聡子

高木美帆にとって大切な種目、1500m 【写真は共同】

前半好調も、最後に落ちたラップタイム

 2月17日(現地時間、以下同)に行われたチームパシュートの記者会見に銅メダリストとして出席した高木美帆は、1500mに対する思いを問われ、次のように答えていた。

「本当にここまで紆余曲折ありながらも進んできたんですけど、どんなにしんどくても、やっぱり最後に自分の気持ちをとどめていたのはその1500mの存在だと思うので、それが3日後に迫っている」
 
 1500m世界記録保持者の高木は2018年平昌五輪、2022年北京五輪の同種目で銀メダルを獲得。北京五輪後の4年間は、2026年ミラノ・コルティナ五輪での金メダル獲得を目指して戦ってきた。

 ミラノ五輪では、1000m、500m、チームパシュートで銅メダルを獲得。五輪期間中に調子を上げていく高木の強さが、今大会でも発揮されているように見えた。

 迎えた20日の1500m。最終組で滑走した高木は前半からスピードに乗って飛ばしていく。24.96、27.97、29.67と刻んだラップタイムは、いずれも2位。金メダルに手が届くかと思われたが、最後になってラップタイムは32.26を刻み、6位と急降下した。最終的に高木のタイムは1分54秒865、6位という結果だった。

「調整する余裕がなかった」

レース後、高木の目には涙があふれた 【写真は共同】

 ミックスゾーンに現れた高木の目は真っ赤で、まだうるんでいた。

「長距離勢が1500mで強くなってきている中で、私ができることとなると、やっぱり攻めることだと思っていた」

「その攻めていきたいという気持ちは、どういうところからか」と問われると、高木は「勝ちたいからですかね」と即答した。

「早く滑りたいとなると、1500mは守るより攻めの方がタイムは出やすいので、そういうのもあって。攻めのレースをしました」

「300mから700mにかけては、私の中では今シーズンの中で一番良かった」と振り返る高木は、冷静に自らを分析した。

「故に自分のミスとかではなくて『実力不足だったんだな、この結果は』と思いますね。ラストのスケーティングや自分のスタミナも含めて」

 ラスト半周は「ほぼ無心だった」と振り返る。

「自分の順位とか、これならいける・いけないとかではなくて、体が止まっている・動きが乱れているという理解はしていたので。『少しでも早くゴールしたい』という気持ちで滑っていたと思います」

 ゴールした瞬間は、結果を「受け入れている部分はありましたね」と語った。ここ数年のレース展開と同じだったという。

「去年・今年は、後半がずっとできていなかったというのを感じていて、それを今もやっているという実感や自覚もあったので。『この順位は受け入れられない』というよりは、『ああ、そうか』というような感情だったと思います」

 高木自身の分析によれば、調整する余裕がなかったのだという。

「大事な時に調整して、スピードに乗らないでそのまま失速するということも、けっこうあることでもあったので。なんかもう『自分がやりたいスケーティングをやる』と思ってスタート切っていって、失速したという感じです」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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