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ソボスライの圧巻ゴールと3戦連続無得点 くっきりと分かれたリバプールとブライトンの明暗

森昌利

シュート数ではブライトンが上回りながら、結果はリバプールが3-0で勝利。昨季のプレミア王者がFA杯16強入りを決めた 【Photo by Chris Brunskill/Fantasista/Getty Images】

 2月14日(現地時間、以下同)のFA杯4回戦。リバプールがホームにブライトンを迎えた一戦は、両軍の明暗がくっきりと分かれた。多くのチャンスがありながら、決定力不足で公式戦3試合連続ノーゴールに終わったブライトンに対し、リバプールは前半42分、後半11分、同23分と得点を重ねて3-0の快勝。とりわけドミニク・ソボスライが決めた2点目は、リバプールにとって今季最高と言ってもいい素晴らしいゴールだった。

技と力とスピードの全てが最高峰のゴール

「FA杯の優勝は彼にかかっている。今、間違いなく世界最高の選手の1人だからね」

 モハメド・サラーはそう語った。間違いなく世界最高――。アタッカーとして世界でもトップ3に入るエジプト人にそう言われたのは、ドミニク・ソボスライだった。

 リバプールに移籍してきたばかりのころは、クリーンカットの好青年というイメージだったが、最近は長髪と髭面が定着して、我が娘は「あのジーザス(キリスト)みたいな人」と呼ぶ。

 そんなソボスライが、2月14日のバレンタインデーに行われたFA杯4回戦でアンフィールドを熱狂させた。

 圧巻かつ最高の見せ場は後半11分のゴールシーンだった。選手間の連携や崩し方といった点でも今季最高のクオリティのゴールで、筆者に2019年11月10日のマンチェスター・シティ戦で、トレント・アレクサンダー=アーノルド、アンディ・ロバートソンとつなぎ、ゴール前に飛び込んだサラーが頭で押し込んだゴールを思い起こさせた。

 あのゴールと同様、まさにワンツースリーの3タッチで決まった電光石火のゴールだった。

 左サイドのコーディー・ガクポが、右サイドのサラー目がけてサイドチェンジのパスを放った。33歳エジプト代表FWはこの強くて速いパスに、利き足ではない右足をダイレクトで合わせた。そのタッチが天才的だった。

 サラーの絶妙なタッチは、ガクポが渾身の力で蹴ったボールの勢いを完全に吸収して、そのパスは無人の野となっていたブライトン最終ラインの裏にポトンと落ちて転がった。

 そこに猛然と走り込んできたのが25歳のジーザスだった。まさに疾風のごとく現れ、サラーがそのスキルでお膳立てしたボールに自慢の右足を鋭く振り切ってヒットさせ、ブライトンゴールに叩き込んだ。

 すごいゴールだった。世界トップクラスのチームだけに許されるゴールだった。技と力とスピードの全てが最高峰だった。ブライトンのディフェンスはないに等しいくらい、完全に翻弄し、無力化した圧倒的なゴールだった。

“ジェラード以上”も見据えるソボスライの気概

中盤から駆け上がり、サラーがスペースに出したボールを右足でジャストミート。ソボスライのゴールは惚れ惚れするような見事な一撃だった 【Photo by Liverpool FC/Liverpool FC via Getty Images】

 4-2-3-1の右ボランチで先発したソボスライは、この2点目の時だけではなく、中盤の底と最前線の間を何度も走り抜けた。そのスタミナは無尽蔵なのかと、見る者を感嘆させた。

 本物のボックス・トゥ・ボックスのMFだ。高いクオリティとインテンシティで攻守に貢献するソボスライは、まさしく勝敗の鍵を握る選手に成長した。

 ピッチを縦横無尽に駆け巡り、すごいボールを蹴りまくる。そんな選手がリバプールの8番を背負っている。無論、誰もがそんなソボスライにスティーブン・ジェラードを重ねる。

 実際、試合直後のインタビューでソボスライは、「まるでジェラードのような試合をしたが」と投げかけられた。しかし本人は、「もちろん彼がクラブのレジェンドであることは間違いないけど、僕は僕自身のストーリーを作りたいと思っている。出場する全ての試合でベストを尽くすだけだ」と語って、ジェラードの型にハメられるのを避けた。

 この発言には、“ジェラード以上”も見据えたハンガリー人の気概を感じた。

 試合後の会見で敵将ファビアン・ヒュルツェラー監督も認めたように、対戦相手のブライトンはメンバーを落としており、しかもアンフィールドでのゲーム。それだけに、このパフォーマンスが今後のリバプールを決定付けるとは思わない。

 しかしソボスライと、この試合で信じられない連続技を何度も見せたフロリアン・ヴィルツの2人が、これからのリバプールの中盤を背負って立つのは間違いないと確信した。

 この2人に加え、今回のFA杯戦では温存された形になったが、今季のレッズでひとり気を吐くユーゴ・エキティケの決定力が、過去9年間の得点源だったサラーに代わって、新たな黄金時代を築く礎になるだろう。

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著者プロフィール

1962年3月24日福岡県生まれ。1993年に英国人女性と結婚して英国に移住し、1998年からサッカーの取材を開始。2001年、日本代表FW西澤明訓がボルトンに移籍したことを契機にプレミアリーグの取材を始め、2025-26で25シーズン目。サッカーの母国イングランドの「フットボール」の興奮と情熱を在住歴トータル30年の現地感覚で伝える。大のビートルズ・ファンで、1960・70年代の英国ロックにも詳しい。

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