「五輪の魔物」が阻んだ本来の実力 日本代表・フォルティウスの予選敗退を石崎琴美が語る
苦しい空気のチームに差す「一筋の光」
また、作戦の組み立て方の話をしましたが、いい判断をしたシーンもありました。日本のビッグエンドとなったイタリア戦の第5エンド。吉村選手のラストショットの場面で、ドローで確実に2点を取りにいくのかと思われたのですが、3点を狙うもう一つの作戦にチームメイトが気づいたんです。簡単ではないショットでしたが、あの場面で広い視野を持ち、成功させたことが素晴らしいですよね。積極性と柔軟さはきっと次につながっていくはずです。
残りの試合は五輪の舞台をかみしめて
どの国も全勝で通過したい気持ちを持って戦っているはずですが、不思議なことに「予選で全勝していないほうが、決勝トーナメントで勝ち上がりやすい」という“あるある”は存在するんです。予選から決勝まで勝ち続けるというのは難しいし、トーナメントでは1度負けたら終わり。そういう意味では、スウェーデンにとってもこの段階でカナダに負けたことは、そうマイナスには捉えてないと思いますよ。
日本は決勝トーナメントの道が絶たれましたが、残り2試合に向けてやれることは「ドローショットの感覚をしっかりつかむこと」です。イタリア戦の前にストーンが研磨されたことでよりアイスを読むことが難しくなり、ドローショットが短くなったりしましたが、「このウエイトならTラインまで届く」という目安を、チームとして共有することが大事ですね。
あとはもう、とにかく思い切ってプレーしてほしい。スキップに迷いがないときは強いし、迷いが出るとリズムも停滞する。だから、作戦を「これだ」と決めたら、みんなで「よし、それでいこう」と信じてやってほしいですね。五輪の舞台に立っていること自体がすごいことなので、その喜びをかみしめて、のびのび楽しんでプレーしてほしいと思います。
【解説者】石崎琴美(いしざき・ことみ)