「五輪の魔物」が阻んだ本来の実力 日本代表・フォルティウスの予選敗退を石崎琴美が語る

スポーツナビ

イタリア戦に敗れ、引き揚げるスキップの吉村紗也香。世界の壁に阻まれた 【写真は共同】

 ミラノ・コルティナ五輪のカーリング女子1次リーグが2月17日(現地時間、以下同)に行われ、日本は開催国イタリアに6-8で敗れた。これで通算戦績を1勝6敗とし、決勝トーナメントの可能性は途絶えた。

 ここまで1勝止まりで、苦戦を強いられている日本。16日のカナダ戦は序盤にビッグエンドを決められたことが響き、3点ビハインドのまま6-9で敗戦。17日のイタリア戦は、リザーブの小林未奈をセカンドに起用して臨んだ。序盤こそ均衡したものの、第4エンドに3点を奪われる展開に。すぐさま第5エンドで日本が3点を奪い返して同点にするも、イタリアが後攻となった最終エンドで2点を決められて試合が終了。要所でチャンスをものにできなかった。

 今大会のフォルティウスは、なぜこんなに苦しんでいるのか。予選敗退が決定している中、残り2試合でやるべきこととは――。3度の五輪出場、ロコ・ソラーレではフィフスとして北京銀メダルに貢献し、現在は解説者として活躍している石崎琴美さんに話を聞いた。

「判断と精度」が裏目に出て致命傷となった日本

ストーンを投げるサードの小野寺とスイープをする小林。刻々と変わるアイス、研磨された石への適応に苦しんだ 【写真は共同】

 フォルティウスは本当に国内で見ていても強いチームで、どうしてなかなか本来の力を出し切れていないんだろう、と感じます。五輪ならではの難しさもあるでしょうし、上位10カ国しかいない中での1勝は本当に難しくて重みが大きい。勝ち切ることの難しさを、解説者として見ていてもあらためて感じさせられます。

 イタリア戦は、流れ自体は悪くありませんでした。15日の韓国戦を終えて「やられたらやり返さないと勝てない」という話をしましたが、イタリア戦で3点を奪われた直後に3点を取り返したところは評価できるポイントです。その後は見応えのあるクロスゲームで、最終エンドのラストショットまで、勝負の行方が分からない展開を作れました。結果的には届きませんでしたが、最後まであきらめずに戦えた試合だったと思います。

 この試合を勝ち切れなかった要因の1つに挙げられるのが、「後半の後攻エンドで複数点を取れなかったこと」です。例えば第7エンド、サードの小野寺佳歩選手の1投目はコーナーへのフリーズ(相手ストーンにくっつけるショット)が成功し、ナンバーツーストーンを取りました。その日本のナンバーツーにフリーズしようとした相手のミスが直後にあり、チャンスが広がったところで、小野寺選手の2投目。再びフリーズを試みましたが距離が伸びず、複数得点を狙える形が崩れてしまいました。
 
 ナンバーツーを守りにいく作戦も間違いではありません。ただ、オプションとしてナンバーワンを取りにいく形を見せていたら、相手は違う対応をしてきたかもしれない。そういう意味では、作戦が裏目に出たようにも感じます。あのエンドを決め切れていればもっと優位に立てていましたし、「作戦の組み立て方」「ショットの精度」の両面で、惜しいエンドだったと思います。

 イタリア戦に限らず予選全体を見ていて感じているのですが、後攻で複数点を取りたい場面で相手のストーンがハウスにたまり、自分たちが難しいショットを強いられているシーンが度々見受けられます。フロントエンドのドローショットも悪くはないものの、やっぱりもっと精度を上げなければならないと感じています。
 
 刻々と変わる「アイスの状態」も、彼女たちを苦しめたもう1つの要因と言えそうです。カナダ戦ではアイスの状態的にストーンが伸びやすい状態で、日本はウエイトの部分で苦戦していました。特に第3エンドではスキップ吉村紗也香選手のラストショットでドローが思ったよりも伸びてしまい、痛恨の3点スチール。あのエンドはセカンドの小谷優奈選手あたりから同じようなミスが続き、最後までアイスをつかみ切れなかった印象です。カナダ戦の後にはストーンの研磨が入ったのでストーンの情報としても新しい状態となり、試合を見ていても前の試合より伸びにくく、曲がりやすくなっていました。アイスとストーンの両方の情報をつかむ必要があったのがイタリア戦でした。

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