世代が野球を変える──黄金世代クロニクル

「88年世代」はプロ野球歴代最強世代なのか? 全101世代をセイバー指標でランキング

大南淳(DELTA)

昨季、日米通算200勝を達成し、同じ年の坂本勇人から花束を受け取る田中将大。1988年生まれのすごさをデータで検証する 【写真は共同】

 プロ野球の長い歴史の中ではある学年にスター選手が集中する「黄金世代」が時折生まれる。よく知られるのが松坂大輔、藤川球児、杉内俊哉、和田毅ら好投手が集中した「松坂世代」だろうか。それ以外にも清原和博と桑田真澄を筆頭に佐々木主浩らタレントが集中する1967年生まれの「KK世代」など、それぞれのファンによって印象深い世代があるだろう。

 そんな世代比較の中で近年最強と言われているのが1988年生まれの「88年世代」だ。投手ではMLBでも活躍した田中将大、前田健太を筆頭に、2020年沢村賞・大野雄大、2012年パ・リーグMVP・吉川光夫。野手では坂本勇人、柳田悠岐、秋山翔吾、宮﨑敏郎など、2010年代を席巻したスーパースターが勢揃いする黄金世代である。これほどのタレントが揃う年はめったにない。

 彼らもすでに30代後半を迎え、OB世代との比較が可能な年代に入ってきた。近年最強の88年世代は歴代最強と言えるのだろうか。今回は1901年生まれから2006年生まれまで、これまで日本プロ野球でプレーした全101世代をデータで比較してみたい。

 日本の学年に基づき4月2日から翌年の4月1日までの生まれを同世代と定義した。また成績は2リーグ制以降から算出している。

 データで比較をするといってもその方法はさまざまだ。安打数や防御率、勝利数など、何で比較するかによって結果は大きく変わってくる。ただ今回は投手・野手ともに「平均との得失点差」をベースに評価を行う。野手ならば打撃、投手ならば投球でそれぞれ各年のリーグ平均に比べどれだけチームの得点を増やしたか、失点を減らしたかを集計。それを合計することで世代間の比較を行う。ちなみに外国人選手も含めて計算を行っている。

 投手は奪三振、与四球、被本塁打の3要素から投手を評価するFIPをリーグ平均と比較することで、どれだけ失点を防いだかを求めた。

今季から日本球界に復帰した前田健太も88年世代をけん引してきた 【写真は共同】

 はじめに88年世代についてこの平均との得失点差で見てみよう。まずは投手からだ(表1-1)。一番右の列にある「平均との失点差」が大きいほど、失点を減らしている投手と考えることができる。

【データ提供:DELTA】

 投手をけん引するのはやはり田中と前田だ。田中はNPB通算1823イニングを投げ防御率2.73、前田は1509.2イニングを投げ防御率2.39。ともに凄まじい成績だがこれを平均的な投手に比べて失点をどれだけ防いだかに落とし込むと、田中は156点、前田は134点となる。田中の数字はNPB歴代19位、前田は30位である。この2名はともに全盛期をMLBで過ごした投手だ。NPB時代の成績だけでこの位置につけられることに、2投手の圧倒的な実力がわかる。

 そのあとには大野雄大が58点、増田達至が47点と続く。このほかにも世代全体で56人の投手がおり、平均に比べ合計288点を防いでいる。上位5人の合計よりも小さいが、これは平均に比べ劣る、マイナスの投手も多くいるためだ。

88年世代の打者の中でも圧倒的な数字を誇る柳田悠岐 【写真は共同】

 野手についても見ていこう(表1-2)。野手は一番右の列の「平均との得点差」で見ていく。これを見ると柳田の貢献度が凄まじい。柳田の値は469。通算6095打席を平均的な打者に与えた場合に比べ、柳田はチームの得点を469点分増やしたことを意味する。これは日本プロ野球歴代11位の数字だ。この歴史的大打者といっていいレベルの柳田を筆頭に、坂本が266点、秋山が230点、宮﨑が168点と高得点を叩き出す打者が数多くいる。世代の打者合計は1042点となった。

【データ提供:DELTA】

 投手と野手をあわせると合計は1330点。平均的な打者・投手に比べ、合計で1330点得失点差を増やした世代と考えることができる。

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