2026年のプロ野球で注目すべきユーティリティープレーヤーは? DH制の有無によりセ・パで特性に違いも
事実上「代走枠」「内野控え」「外野控え」を同時に確保できる
昨季の熊谷は85試合に出場。途中出場が多かったが、守備では一塁、二塁、三塁、遊撃、そして外野を守った。重要なのは、これが緊急事態の穴埋めではなく、試合の流れや相手打線の左右に応じた「戦略的な配置転換」として織り込まれている点だ。ベンチに熊谷を置くことは、事実上「代走枠」「内野控え」「外野控え」を同時に確保することを意味し、セ・リーグ特有の選手構成上の制約を劇的に緩和させる。
一方で、主力級でありながらユーティリティー的価値を発揮するのが巨人の門脇誠内野手である。
プロ1年目の2023年は一度も2軍落ちすることなくシーズンを完走。侍ジャパンにも選ばれた。2024年は前年を上回る129試合に出場するも、昨季は打撃不振や泉口友汰内野手の成長により正遊撃手の座を奪われた。それでも、自慢の好守を三塁や二塁でも見せてチームに貢献。ポジションを移動しても守備指標が落ちにくく、配置を動かしてもチーム全体の失点阻止能力が揺るがない点は、阿部慎之助監督の采配に大きな自由度を与えている。
単なる控えではない、ユーティリティー像を象徴する選手
門脇、矢野のような“実績組”の陰で、若手による「出場機会確保のためのマルチ化」が加速していることも付記しておく。
DeNAの京田陽太は昨季94試合に出場。遊撃と三塁での起用が中心で、若手内野手を併用するなかで配置転換の受け皿となった。複数ポジションに対応するベテランは、高い経験値を武器にチームの可変性を支える調整役と言える。またヤクルトの武岡龍世内野手も、二塁、三塁、遊撃とさまざまなポジションを務めた。
中日では福永裕基内野手の存在が光る。2024年は111試合に出場し、打率.306と打撃が開花。しかし昨季は開幕前に右膝を負傷し、長期離脱となった。本来は二塁、三塁、外野と幅広い起用ができる選手。単なる控えではない「戦略的配置」としてのユーティリティー像を象徴している。
守備範囲の広さ、終盤起用への適性、そしてベンチワークへの寄与度。これらを総合的に見たとき、2026年シーズンにおいても熊谷こそがセ・リーグ最強のユーティリティープレーヤーであり、今季の阪神で試合の行方を左右するキーマンと言えるだろう。