大雪で「幻」と消えた男子スーパーチームのメダル “まさかの幕引き”の背景、竹内択が解説

久下真以子

雪の影響で中断となった男子スーパーチーム。3本目でビッグジャンプを見せた二階堂蓮も呆然とした表情を見せた 【写真は共同】

 ミラノ・コルティナ五輪のスキージャンプの最終種目・男子スーパーチームが現地時間の2月16日夜(日本時間17日早朝)に行われ、日本からは今大会3つのメダルを獲得した二階堂蓮(日本ビール)と、北京五輪・個人ノーマルヒルで金メダリストとなった小林陵侑(チームROY)の2選手が出場した。一時はメダル圏内につけたものの、3本目の途中で強まった雪の影響で試合は中断。2本目終了時点の順位が最終結果として採用されることとなり、日本は535.2点の6位に終わった。金メダルは、今大会ここまでメダルなしのオーストリア(568.7点)が手にしている。

 男子スーパーチームは今大会から採用された種目で、1チームにつき4人が2回ずつ飛ぶこれまでの「団体」とは違い、2人が最大3回飛んでその総合得点を競う。1本目で二階堂が131.5メートル、小林が129.0メートルで5位につけ、2本目では二階堂が131.0メートル、小林が130.0メートルで6位。迎えた3本目は二階堂が138.5メートルのビッグジャンプを見せて暫定2位に浮上するも、2人目のジャンプを数人残した状態で雪が強くなり中断。そのまま3本目はキャンセルとなった。

 会心のビッグジャンプが文字通り「幻」となった二階堂。そして、あと少しで回ってくるはずだったラストジャンプを飛べなかった小林。この異例な結末を迎えた新種目を、専門家はどう見ていたのか。バンクーバー、ソチ、平昌と3度の冬季五輪出場を果たし、現在はスキージャンプ界で初の「プロアスリートチーム」を率いる竹内択さんに、男子スーパーチームで起こった異例の事態や日本勢のパフォーマンスについて振り返ってもらった。

「それも五輪」。早かった運営のキャンセル判断

1本目のジャンプを終え、得点が出るのを待つ小林陵侑 【写真は共同】

 大雪での中断はまさかの展開すぎて、誰も予想してなかったですよね。ワールドカップなどでも悪天候による中断はありますが、通常はもう少し様子を見たり、時間を置いて飛び直しをしたりといった措置が取られます。それに比べて、今回はキャンセルの判断が早かった。放送の関係など、「五輪ならではの運営の難しさ」があったのだと思います。

 テストジャンパー(競技前や競技中、安全性の確認やレール状況の整備のために試飛を行うジャンパー)が多く入れば、雪が降っていても再開できるケースはあります。今回もテストジャンパーは入ったようですが、中断前に飛んだドイツと再開直後に飛んだポーランドでは滑走スピードが時速3キロも違っていました。このようにスピードがかけ離れ過ぎるのは不公平であり、キャンセルになり得ます。そういった点も重なり、今回の判断になったと言えそうです。

 二階堂選手は今日もミスが少なく、安定したジャンプができていたと思います。1本目と2本目は距離こそ思うように伸びませんでしたが、今シーズンの彼はずっと自分のジャンプに集中できている。3本目のビックジャンプが記録に残らなかったのは、見ていた側の私としても非常に悔しいですね。試合後には彼も「これがオリンピック、そう思うしかない」と受け入れていましたが、表情から悔しさややるせなさを感じました。

 小林選手は本来の実力を考えると、やっぱり不調なのかもしれないと感じました。踏み切りにも少しズレがありましたし、上半身をいつもより使いすぎてもたついてしまった印象です。本人も「最後に自分のジャンプでメダルを勝ち取る」とイメージしていたはずですし、ラストを飛べずに終わるという展開は見ている方にとってもモヤモヤが残る形になりました。二階堂選手とはまた違った部分で、彼も悔しさをかみしめていると思います。

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著者プロフィール

大阪府出身。フリーアナウンサー、スポーツライター。四国放送アナウンサー、NHK高知・札幌キャスターを経て、フリーへ。2011年に番組でパラスポーツを取材したことがきっかけで、パラの道を志すように。キャッチコピーは「日本一パラを語れるアナウンサー」。現在はパラスポーツのほか、野球やサッカーなどスポーツを中心に活動中。

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