「走順とアウトスタート」が功を奏し笑顔の銅 女子500m高木美帆の“強さ”に清水宏保が感嘆
また、9日の女子1000mにも出場し、女子500mを本命にしていた28歳の山田梨央(直富商事)は37秒78で9位、23歳の吉田雪乃(寿広)は37秒98の13位に終わった。金メダルは、この種目で世界記録保持者のフェムケ・コク(オランダ)で36秒49と五輪記録を更新。銀メダルは、女子1000mを制したユッタ・レールダム(オランダ)の37秒15だった。
高木は今大会で20日に行われる女子1500mを本命としており、この種目に出場するかどうかギリギリまで明言せず、その動向に注目が集まっていた。しかし、銅メダルが決まった瞬間は笑顔でガッツポーズを見せた。
高木美帆の好パフォーマンスの要因はどこにあったのか。また、金・銀を独占するオランダ勢の強さの秘密は何なのか。長野・ソルトレークシティと2大会連続でメダルを獲得し、現在はスポーツキャスターや解説者としても活躍する清水宏保さんに、レースの戦いぶりと今後の展望を聞いた。
高木選手の好レースを引き寄せる条件は整っていた
37秒27というタイム的に、僕は「5位以内には入るだろう」とは思っていたのですが、その後の選手のタイムが思ったより伸びませんでした。実力的に36秒台を出す選手が他にも何人かいると考えていたので、やっぱり五輪の大舞台は簡単ではないんだと感じさせられますね。本来持っている実力を出した高木選手と、持っている実力を出しきれなかった選手。それが明暗を分けた要因のひとつだと思います。
高木選手は、「走順」も良かったと思います。4組目と早かったので、会場の雰囲気もまだそこまでヒートアップしていない状況で、落ち着いて滑れたのではないでしょうか。オランダの選手たちをはじめ、強豪が出てくる後半のタイミングだと、雰囲気は全く違います。本人は「オランダ勢を応援する歓声には経験的に慣れている」とは言っていますが、僕はこの滑走順は結果的に良かったと思っています。
また、「アウトスタート」だったこともプラスに働いたと思います。序盤100mのタイムは10秒40と、かなりいいスタートを切りました。アウトスタートは、前半は追いかける形になるからです。コーナーで相手選手を左前方に見据え、インコースに移った後半で抜いて最後もしっかりと滑り切る。少しコーナーでミスをしたかと思ったのですが、さすがのレースでしたね。
山田選手も、彼女らしい滑りができたのではないでしょうか。序盤に少し頑張りすぎたのか、後半のスケーティングがちょっと乱れたように見受けられましたが、7組で滑り終わった時点で高木選手に次ぐ2位でしたから、まずまずだったのではないかと思います。
メダルが期待されていた吉田選手は、残念ながら13位という結果でした。スタートのやり直しを取られてしまいましたが、「スローに構えすぎ」というようなことを言われたようです。これまで注意されていなかったことを指摘された分、やはり動揺したそうで、多少なりとも結果に影響があったと思います。「コーチや周りの人たちにメダルで恩返しをしたい」とずっと言っていたので、それができなかったのが申し訳ないと言っていましたね。でも、本人にとって不本意だと思いますが、この敗戦は必ず次につながると思います。