好調の二階堂、ラージヒルは悔しさの残る「銀」 肉眼では分からない“誤差”の明暗を竹内択が解説
この日の二階堂は1本目から140.0メートルの大ジャンプを披露し、154.0点をマーク。優勝候補のドメン・プレブツ(スロベニア)が138.5メートルで147.0点だったため、1本目を終えた時点でトップに立った。しかし、2本目でプレブツが141.5メートルのジャンプで154.8点を記録。二階堂は直後に136.5メートルを記録したものの141.0点にとどまり、逆転優勝を許す結果となった。メダル獲得が期待された小林は1本目で11位と出遅れたが、2本目で138.5メートルのジャンプを見せ、最終的に6位まで順位を上げている。
ノーマルヒル、そして混合団体と、日本代表のメダル獲得が続いているスキージャンプ男子。二階堂は1本目が高得点だっただけに直後のインタビューでは悔しさをにじませたが、次のスーパーチームへの期待感も高まる試合だったと言える。バンクーバー、ソチ、平昌と3度の冬季五輪出場を果たし、現在はスキージャンプ界で初の「プロアスリートチーム」を率いる竹内択さんに、男子ラージヒルで見られた「明暗」を振り返ってもらった。
「テクニックではない部分」で金と銀の差は生まれた
五輪期間中の二階堂選手を見ていて感じるのは、アプローチ(助走)の安定感です。スキージャンプでは、スタートゲートから降りて平らになるところで体重の半分ほどのG(重力)がかかるのですが、そこでバランスを崩すと踏み切り時に力が地面に伝わりません。二階堂選手はそこでのブレが非常に少ない選手。2本目についてはアプローチでミスがあった可能性もありますが、肉眼では分かりませんでした。もしかしたら、金メダルが“見えた”ことによる力みがあったのかもしれません。
優勝したプレブツ選手は、五輪に入ってからワールドカップのような圧倒的なジャンプを見せられていませんでした。しかし、前日の公式トレーニングで明確に何かをつかんだのでしょう。特に今日の2本目は「これぞプレブツ」というほど圧倒的で、ジャンパーの私から見ても羨ましいくらいきれいなジャンプでした。
プレブツ選手の特徴は、唯一無二の低い姿勢から繰り出される「長い踏み切り」。時間にするとほんの一瞬なのですが、彼の場合は他の選手よりも踏み切りの時間がわずかに長いんです。だから、地面に踏み込む力が伝わる。これは、トップレベルの選手でもなかなかできません。
ここまでハイレベルになると、メダルの色を分けた要因はテクニックではなくメンタルなのだろうと思います。追いかけるしかないプレブツ選手の思考は極めてシンプル。それに対し、逃げる立場の二階堂選手には「7点」というアドバンテージがありました。そのせいで、少しだけ金メダルを意識しすぎてしまったのかもしれません。