「アーリーチャックやろう」戸塚優斗、最後の調整が導いた金メダル 止まらない日本ハーフパイプ黄金時代

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戸塚優斗(左)と山田琉聖(右)が過去最高レベルの激闘を制し表彰台へ 【写真は共同】

 現地時間2月13日に行われたミラノ五輪スノーボード男子ハーフパイプ決勝。戸塚優斗が過去最高レベルといえる決戦を制し、悲願の金メダルを獲得。銅メダルには19歳の新星・山田琉聖が入り、スノーボードはこの種目でも日本勢が表彰台に名を連ねた。

 もはや日本勢は「誰が勝ってもおかしくない」レベルだった。決勝2本目、最終滑走のスコッティ・ジェームス(オーストラリア)が高得点をまとめて2位に入るまで、1位から4位までは日本の国旗が並んでいた。その光景は、日本勢が上位を占める展開の中で海外勢がどこまで割って入れるか、というこの決勝の構図を象徴していた。観客も掲示板を見つめ、日本勢が上位を占める状況を前に、しばらく言葉を失ったように静まり返る場面もあった。

 会場で印象的だったのは、国境を超えた反応である。海外の観客からも、日本選手の滑走前には大きな声援が飛び、場内の熱量が一段と上がった。結果だけでなく、滑走そのものが注目を集め、日本勢が“スター集団”として存在感を示した決勝だった。

ルーティンの最終調整が導いた金メダル

一味違う構成を選び、自分の強みを出し切った戸塚優斗。悲願の金メダルを手にした 【写真は共同】

 表彰台の頂点に立ち、国歌が流れた瞬間、戸塚の目には涙があふれた。
「夢なのかな?というくらい信じられない気持ちだった」

 平昌、北京と続いたこれまでの過程を振り返り、「苦しんで、戦ってきた記憶やいろんなことを思い出して…ここまでやってきて良かった」と語り、感情をにじませた。コーチ陣の涙も目立ち、勝利が積み重ねの先にあったことをうかがわせた。

 戸塚はコーチと「ルーティンをどうしようか」と最後まで話し合っていたと明かす。
「ここまできたらアーリーチャックやろう、ってなって。高さが出ればメダルに届くという話をした」

 ジャッジの傾向を踏まえた工夫も、勝負を分けた要素として挙げられた。
 多くの選手がスイッチバックから入る中で、同様の入りでは点が伸びない理由を考えたという。

「ここは変えて、アーリーチャックを入れてそこからスイッチバックっていうつなぎは誰もしてないことだったので」「それを決めれたのがうれしいです」

 結果として、同じ技の並びではなく、一味違う構成を選んだ点が金メダルの要因の一つになったといえる。

 ルーティンの組み替えも、最後まで悩み抜いたポイントだった。戸塚はコーチや周囲に「どんなルーティンがいいか」と相談を重ね、直前までトリプル×トリプルをどこに投入するかも迷っていたという。当初は“最後”に入れる予定だった構成を、最終的に“最初”へ移す判断を下した。勝利の裏側には、こうした直前まで続いた判断の積み重ねがあったという。

「ルーティンを組み替えれるのは、自分の強みだと思う」

 金メダルについては「感謝の気持ちが詰まっているので、重たい一つとなった」と表現し、実感をかみしめていた。

 また、平野歩夢について問われると、「本当に自分のヒーローだと思っていて、練習でも大会でも常に影響を受けながらやってきている」と語り、「本当にけがしているのかな?という滑りだった」とパフォーマンスを称えた。同じ舞台で戦い続けてきた相手への敬意が、言葉の端々に表れていた。

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