北京銅の森重、膝に不安も本命500mへ「攻め切らないと勝てない」 男子1000mを終え、日本勢は次を見据える

沢田聡子

怪我からの回復を目指す森重 【写真は共同】

 現地時間2月11日、ミラノ・スピードスケート競技場で行われたミラノコルティナ2026冬季五輪・男子1000mに、日本代表の森重航、山田和哉、野々村太陽が出場した。3人はミラノ初のレースを終えた。

 オランダのスケートファンが客席を埋めたこのレースでは、世界王者のユップ・ベンネマルス(オランダ)がレース中に接触されたため、再レースを行うというハプニングもあった。優勝したのはジョーダン・ストルツ(アメリカ)で、タイムは五輪新記録となる1分6秒28。日本勢は、野々村が13位・タイムは1分8秒87、山田が20位・タイムは1分9秒381、森重が24位・タイムは1分9秒85という結果だった。

 2022年北京五輪の500mで銅メダルを獲得している森重は、14日に行われる500mにつながるようなレースにしたいと考えて1000mに臨んだ。

「求めていった結果は得られなかったんですけど、まずは1レース、この会場の雰囲気を味わえたというところは良かったかなと思っています」

 森重はワールドカップ第5戦(1月)の500mでストルツと同走になり、そのスピードについていくレースを展開。しかし第2コーナーで転倒し、クッションの壁に左半身を打ち、左膝を痛めた。

「痛みはない」と説明する森重だが、やはり微妙な感覚のずれはあるようだ。

「膝の左右のバランスは日によって崩れることもあるので、そこは先週からずっと修正しながらやっている状況です」
「膝の打ったところに力が入らなくなったりするので、そういう修正はしています」

 微妙な調整をしながら迎えようとしている500mのレースには、出身地である北海道別海町の少年団が応援に駆け付ける予定だ。

「やはりいいレースをしてこそ、応援に来た甲斐があるなと思ってもらえると思うので、まずは自分のことを集中してできればいいかなと」
「攻め切らないと、勝てないと思っている。それぐらい厳しいと思うので、もっともっと自分らしいレース、そして攻め切ったレースをしてゴールできればいいかなに思っています」

 今まで森重は無観客の北京五輪しか知らなかったため、観客の熱気があふれる今回の五輪を楽しんだようだ。

「思ったより楽しく滑れたというか、オランダの方が多かったんですけど、全選手を応援してくれたので、自分もすごい背中を押されるような感覚でした」
「一つレースができて、反省点が見つかって、まだまだ次につながるような状態だと思っているので。いい経験というか、いいレースだったなと思っています」

 森重には前回大会の銅メダリストとして、悔いのない戦いを期待したい。

山田が感じた、夢の舞台での緊張感

山田は1分9秒台の20位で五輪初レースを終えた 【写真は共同】

「7秒台を目指して滑っていたので、納得はできていない」と語る山田は、初めての五輪で緊張感を味わっていた。

「『フライングとられるかな』と思いつつスタートしてしまって、そのまま200mまで全然うまく加速できずにそのまま終わってしまったというか、そんなレースになりました」

 先にレースを終えていた森重が、山田に声援を送っていた。

「本当に最後の200mは、コーナー前ですごく声が聞こえて。「頑張ろう」という心が芽生えた」

 山田は、オリンピックを「夢の舞台ということで、特別視してしまっていた部分もあります」と認めた。

「そういうことを踏まえて、次はいつも通りのレースができるようにしたいなと思います」

 次は3人で挑むチームパシュートがある。

「自分が緊張していたら周りにも影響してしまうかもしれないので、自分はレースを1本滑っている身として、チームを引っ張っていけるよう平常心にしていければと思います」

 初めての五輪でのレースを終えた山田は、15日から始まるパシュートでチームを引っ張ることを誓った。

野々村「日本の中距離の強さを証明したい」

野々村は1500mでやり返したいと語る 【写真は共同】

「満足はいってないんですけど、自分の力を少し出しきれなかったなという感じを含めて、今の自分の実力かなと捉えています」

 野々村は、1000mをそのように総括した。

「やはり課題にあげていた前半のトップスピード、そこがやっぱり他の選手に比べて出遅れてしまったので、そこが最終的なタイムや順位に影響したかなと思っています」

 フライングでやり直しのスタートになったことで吹っ切れたという野々村は、「いつも通りというのは心掛けていたんですけど、やはり少しプレッシャーは感じすぎていたかな」と振り返った。

「やっぱり今日悔しい思いした分、日本の中距離の強さっていうところを証明できなかったという思いがあるので、1500mはやり返したいなっていう、そういう反骨精神じゃないですけど、そういう気持ちで今はいっぱいです」

 野々村は、1500mでは前半のスピードを見てほしいと語る。

「早いラップで積極的なレースが自分の持ち味だと思うので、そこを見ていただければなと思います」

 この後にも、三者三様のレースが続く。ミラノでのスピードスケート日本代表の戦いは、始まったばかりだ。
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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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