平野歩夢、決勝へつなぐ「できること」 掲示板が日の丸で埋まった“史上最高レベル”の男子ハーフパイプ予選

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満身創痍の中、予選を7位で通過した平野歩夢。4大会連続メダルがかかる決勝へ向けて「やるべきことをやるだけ」と前を向いた 【写真は共同】

 ミラノ・コルティナ五輪のスノーボード男子ハーフパイプ予選は現地時間2月11日、午前に行われた女子予選に続いて実施された。男子はスピード、滞空、回転数のいずれも迫力が増し、予選から高難度の組み合わせが相次いだ。安全策のルーティンでは決勝進出が難しいことが序盤からはっきりと示され、予選とは思えないレベルで争いが白熱した。

 結果、日本勢は女子同様に男子も出場4人全員が決勝へ進出した。今大会のスノーボード全種目を通じて、日本勢の安定感が際立つ中、男子ハーフパイプでも予選通過者の掲示板上位が日本の国旗で埋め尽くされた。

 一方、会場で強く印象に残ったのは、アメリカチームの存在感だった。スタートエリアの映像には、ダニー・キャスの姿が映り、選手とハグを交わしていた。現在はアメリカのコーチを務めるダニーは、ソルトレイク、トリノ両五輪で銀メダルを獲得し、USオープンやX Gamesでも多くのメダルを重ねたレジェンドの一人だ。かつてこの競技を牽引してきたアメリカ勢の歴史が、自然と想起される光景だった。さらにフィニッシュエリアには観戦に訪れていたレジェンド、ショーン・ホワイトの姿もあり、競技の“世代”を感じさせる瞬間が重なった。

“上位の風景”は変わりつつある。かつてはアメリカ勢が表彰台争いの中心に並び、この競技の潮流を作ってきた。しかし今大会の予選では、日本勢が上位を占める形となり、勢力図の変化を象徴する一日となった。

ショーン・ホワイトも気にかけた平野歩夢の“状態”

予選を終えて笑顔を見せる平野歩夢。手前左はショーン・ホワイト氏 【写真は共同】

 五輪で3度の金メダルに輝き、2022年の北京五輪後に引退したショーンは、予選を終えた平野歩夢に声をかける場面があった。

 試合後のインタビューで平野は、かつて激闘を繰り広げたライバルでもあったスノーボード界のレジェンドとのやり取りの内容を、こう明かした。

「まさか来てると思わなかった」
「怪我の心配で、前から連絡をくれている。引き続き怪我の心配と、『家族はきているの?』とか話した」

 平野は貫禄の滑りで予選を7位で通過した。ただし状態面については率直に言葉を選んだ。

「良い状態を作れてない中で、この急なオリンピックを迎えてしまった」
「予選でやった技も、この予選でしかやってなくて。どこまで痛みが出るのかわからず、チャレンジしている」

 五輪直前に大きな怪我を負ったことで出場自体が危ぶまれた中、そのコンディションは大きな注目点の一つとなっている。平野自身、痛みと向き合いながら、どこまで本来の滑りに近づけられるのか。状態を見極めながらの滑りだった。

 予選のルーティンについても聞かれると、平野は現状を踏まえながら振り返った。

「良いパフォーマンスか?と聞かれたら、やりたいこととは違う形で終わった。この痛みありきなので仕方ないのかな」

 それでも決勝へ向けては、前を向いた。

「どこまでできるかは分からないが、できることをやるしかないと思う。集中して出し切れることを考えて、決勝には挑みたい。ここまで来た以上は、積み上げてきた4年間という時間を信じて、やるべきことをやるだけ」

 平野の決意を感じる言葉だった。

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