女子ハーフパイプ日本勢4人が決勝へ “厳しいジャッジ”の予選から見えた決勝の勝負どころ

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清水さらは2位で予選を突破 【写真は共同】

 現地時間2月11日に行われたミラノ・コルティナ五輪、スノーボードハーフパイプ女子予選で、日本勢は4人全員が決勝へ進んだ。結果を見れば順調な予選突破だが、会場で見ているとジャッジの評価は全体的に低めに出ていた印象だ。選手やコーチ陣も、点数の出方に首をかしげる様子が少なくなかった。

 予選を1位で通過したのは、けがを抱えながら強行出場を決め、五輪3連覇を狙う女王クロエ・キム(アメリカ)だった。予選で唯一CAB(キャブ)1080を組み込み、「90.25」を記録。CAB1080だけでなく、高さのあるスイッチバック(逆足)エアなどを織り交ぜたスタイリッシュな構成で、滑りには余裕すら感じられた。

 一方、メダル候補として上位通過が期待された韓国のチェ・ガオンは、1本目から高さのあるSB(スイッチバック)720からBS(バックサイド)920とつなげ、高難度の技を連発しながらも「82.25」で6位通過にとどまった。本人も「なぜこの点数なのか、わからない」と漏らしていたという。

16歳・清水さらが2位通過 “高さと回転”をそろえても伸びない点数

 日本勢の最上位は、昨季から絶好調の16歳・清水さらだった。1本目は1番手滑走の影響もあったのか、3発目のBS540の着地で体勢を崩し、次の壁へつなげられず勝負は2本目へ。2本目は終始高さのあるエアをそろえ、FS(フロントサイド)900からBS(バックサイド)900へと高回転を連続させるルーティンをまとめ、「87.50」を記録し2位通過。ただ、高難度のつなぎを考えると採点はやや抑えめに見えた。

 試合後、1本目について問われた清水は「今までの大会で一番緊張していなかった。ただ、ドロップの時のラインを縦に入りすぎてリズムが崩れた」と笑顔で説明。2本目を決めた心境は「安心の気持ち。緊張より楽しんでいる」とし、追い込まれた状況でも「後がなかったから『絶対に立つ!』という気持ち。1本目は『何やってんねん!』と思ってました(笑)」と振り返った。

 決勝に向けては「夏から練習しているダブルコークだったり、新しい技もあるので見てほしい。一番高く飛ぶ気持ちで頑張る」「明日のルーティンは完全には決めていないので、コンディションを見ながら決めていく」と語っている。

 安定感を示していたのが、清水の同級生・工藤璃星だ。2本目に清水と同じ、FS900からBS900の“900コンボ”を入れて「84.75」を得た。4位の予選通過について「ちょっと手をついてしまったりして点が伸びなかった。改善の仕方は分かってるので決勝で直すだけ」と課題を明確にしつつ、「飛んでる時に歓声が聞こえて、これがオリンピックかーって(笑)」と初出場らしい言葉も残していた。

 3大会連続出場で、北京五輪銅メダルの冨田せなは9位通過。「1本目を失敗してしまって、不安がある2本目だったがしっかり決められてホッとしている。明日の決勝はリラックスしながら、かっこいい滑りがしたい」とコメントしている。会場には冨田の妹・るきも駆けつけていた。今大会は出場が叶わなかったが、スタンドから姉の滑りを見守り、声援を送る姿が印象的だった。

決勝は「構成とバリエーション」がカギに

五輪3連覇を狙うクロエ・キムは1位で予選を通過 【写真は共同】

 日本勢で採点にもっとも悩まされたのは、五輪連続出場の小野光希だった。1本目と2本目は同じ技構成で、2本目にグラブの種類を変えて微調整を施したが、点数は思うように伸びない。現地で見守ったコーチ陣も「わからない」とつぶやいていたそうだ。取材時点では予選通過が確定しておらず、小野は「久しぶりに予選落ちしそうで、感情が追いつかないです…」と涙をこらえきれなかった。その後、決勝進出12人中11位で通過が決まっている。

 小野は採点傾向について「ジャッジがいつものW杯と見ているところが違うなというのは感じた」と語り、決勝へ向けては「みんな900を2回入れてきたり、1本目でちゃんと決めて、2本目で攻めにいってたので。1本目からちゃんと決められるように調整したい」と整理する。

 「点数がもっと出ると思った」という感覚があった中で、小野は「900を1つしか入れてなかったからかな…完成度高くてもオリンピックはそういう感じか…と思った」と受け止めつつ、「決勝はCAB900をしっかり決めて、SBの回転もやれば評価されるはずなので、信じて頑張りたい」と前を向いた。

 予選は全体として点数が伸びにくい印象だった。決勝では完成度に加え、技の“バリエーション”や難度構成がより強く問われそうだ。高難度の組み合わせ、スイッチスタンスからの技が評価されやすい傾向が見える中、各選手がどんなルーティンを組み、攻めてくるのか。

 また、決勝は滑走が3本に増える。採点として反映されるそのうち最高得点の1本で、各選手は攻めた構成で勝負に出るはずだ。回転数も1080、さらには1260へ——難度を一段階引き上げたルーティンが次々に投入されるはず。予選の“厳しい採点”を踏まえた上で、誰がどこまで攻め、どこまでまとめ切るのか。明日の決勝が待ち遠しい。

(取材・文:岩垂かれん/スポーツナビ)
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