SP首位マリニンは重圧を克服 2位の鍵山「金メダルはオプション」二度目の五輪を満喫

沢田聡子

威圧感さえ漂う圧巻のショートを披露したマリニン 【写真は共同】

五輪初出場のマリニン「今でも圧倒される」

 鍵山優真とイリア・マリニン(アメリカ)が、個人戦でもハイレベルな戦いをみせた。

 優勝候補としてミラノ五輪に臨んでいるマリニンだが、団体戦のショートプログラムではミスがあり、鍵山に次ぐ2位となった。しかし個人戦のショートは大きなミスなくまとめ、鍵山を5.09点上回る首位に立った。

 29人中28番目という滑走順で登場したマリニンは、大歓声に迎えられてリンクに立った。予定構成では冒頭に4回転アクセル+3回転トウループを入れていたが、実際に跳んだのは4回転フリップだった。昨年12月のグランプリファイナルのショートでは4回転アクセル+3回転トウループに挑んだ結果、ミスが出て鍵山に首位発進を許している。今大会でのマリニンは、挑戦よりミスなく演技をまとめることを優先した。

 4回転フリップを3.77という高い加点を得る出来栄えで成功させ、続いてトリプルアクセルも決める。ジャンプの基礎点が1.1倍になる後半に4回転ルッツを跳び、セカンドジャンプに両手を上げて跳ぶ3回転トウループをつけた。得意なジャンプであるルッツのコンビネーションには、4.76という極めて高い加点がついた。

 3本のジャンプをすべて終えた後も、マリニンの演技には大技がある。ラップパートに入った音楽の高まりの中バックフリップを決めると、会場には大歓声が沸き起こった。威圧感さえ感じる凄まじい形相で演技を終えたマリニンは、ガッツポーズを繰り出した。

 父であるロマン・スコルニアコフコーチに加え、2022年北京五輪金メダリストのネイサン・チェンを指導したラファエル・アルトゥニアンコーチも共に座るキスアンドクライで、マリニンは108.16という高得点がアナウンスされるのを聞いた。

 オリンピックについて、マリニンは「他のどの試合とも違う感覚でした」と吐露している。

「今でも圧倒されることもありますが、団体戦ショートプログラムではそれをはっきりと感じました」

「今回の個人戦に向けて、違う戦略を試してみようと思いました。とにかく落ち着いて、興奮しすぎないように、氷上での時間を楽しみながら、全力を尽くすように心がけました」

 マリニンは鍵山について「彼の活躍を心から嬉しく思います」と讃えた。

「彼は本当によく頑張っていました。いつも彼を見るのが大好きで、本当に刺激的で素晴らしい選手です」

「彼と対戦できることは光栄です。みんなお互いを応援し合っています」

 翌々日に行われるフリーについて、マリニンは「僕が最高のコンディションで試合に臨む姿を、必ず見ることができる」と予告している。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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