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怪我から復帰した鎌田大地の現在地 春の完全復活へ着実にステップを踏んで

森昌利

昨年12月から戦線離脱していた鎌田が2月8日のリーグ戦で復帰。ライバルのブライトンが相手で、三笘とも相まみえた 【Photo by Mike Hewitt/Getty Images】

 右ハムストリングの怪我で欠場が続いていた鎌田大地が、2月8日(現地時間、以下同)のプレミアリーグ第25節に約2カ月ぶりに実戦のピッチに立った。奇しくも対戦相手は三笘薫が所属し、クリスタルパレスとライバル関係にあるブライトン。両クラブの本拠地をつなぐ高速道路にちなんで「M23ダービー」と呼ばれるこの対決で、後半32分に投入された日本代表MFは復帰初戦とは思えないパフォーマンスを披露し、チームの10試合ぶりとなるリーグ戦勝利に貢献した。本人によると故障はまだ完治していないが、3月末の代表戦も見据えて状態を上げていき、完全復活を目指す。

チーム状況が厳しいなかダービーで復帰

「それよりも復帰時期をかなり早くしているので、再発しないように時間制限もありました。そのなかでチームが勝っている状態だったんで、勝ちきれるように、勝ちきれたらいいと思っていました」

 昨年12月14日のマンチェスター・シティ戦で右足のハムストリングを負傷した鎌田大地が、約2カ月ぶりにプレミアリーグのピッチに帰ってきた。

 チームシート(両軍のメンバー表)に彼の名前を見つけた時は心が躍った。それはクリスタルパレス・ファンも同じだったと思う。鎌田が不在だったこの間、チームは公式戦11試合で5分(リーグ杯でのPK戦負けを含む)6敗の未勝利。リーグ戦の順位は5位から15位まで転落していた。

 チームの不調は中心選手の流出・離脱も影響していた。1月の移籍期間中に、主将だったイングランド代表DFマーク・グエイがマンチェスター・Cに移籍。メディカル検査で問題が発生してACミラン行きは消滅したが、膝の状態が悪いフランス人FWジャン=フィリップ・マテタは欠場。また夏には、イングランド代表FWエベレチ・エゼがユース時代を過ごしたアーセナルへの夢の移籍を果たしており、昨季のFA杯優勝を支えたセンターラインの大黒柱3選手が櫛の歯が欠けたようにいなくなった。

 さらには指揮官のオリバー・グラスナーは今季限りで満了する契約の延長に応じず、すでに退任が決まっている。

 クリスタルパレスにとっては、これだけネガティブな材料が重なった状況でブライトンとのアウェー戦を迎えたわけだ。ブライトン戦といえば、サポーターが最も負けたくないと思う激しいM23ダービーである。

 それが鎌田の復帰戦だった。

速さも強度も全く見劣りせず、しかも冷静にプレー

故障箇所の不安はまだ拭えていないが、鎌田は約2カ月ぶりの実戦でハイレベルのパフォーマンスを見せた 【Photo by Shaun Brooks - CameraSport via Getty Images】

 ピッチに登場したのもひりつくような場面だった。1点ビハインドのブライトンがホームでの敗戦だけは絶対に避けたいと、攻勢を強めた時間帯だった。プレーのスピードも、強度も増した。まさしく果し合いのようなフットボールのなかに鎌田は放り込まれたのだ。

 それでも29歳日本代表MFは、約2カ月ぶりの実戦というハンデキャップを感じさせなかった。激烈な試合のなかで速さも強度も全く見劣りせず、しかも冷静にプレーした。

 この試合のクリスタルパレスは、3バックとダブルボランチの守備の連携が素晴らしく、5人が組織的に動いてボール周辺のスペースをなくし、ブライトンの攻撃を弾き返し続けた。途中出場した鎌田もこの完璧な守り――クリーンシートを成し遂げたのだから“完璧”と形容しても許されるだろう――のクオリティを全く落とさず、結局はこの守備力が最大の要因となり、1-0での勝利を容易に果たした。

 そんな頼もしいパフォーマンスを見せた鎌田を、試合直後のクールダウンのランニングを終えてミックスゾーンに戻ってきたところでつかまえた。復帰が嬉しくて、「おめでとう! 久しぶりのプレミアは楽しめたかな?」と声をかけた。

 すると鎌田が苦笑したような表情で、冒頭のコメントをしたのだ。

 開口一番の「それよりも」という言葉は“楽しむということより”という意味であり、それよりも気をつけなければならないことがあったということだ。

 ハムストリングは、アスリートとしてのクオリティも求められる現代フットボーラーの泣きどころだ。筋力を上げた分、そのスピードが諸刃の剣となり、自らを傷つけることが増えた。

 そんなデリケートな故障なのに、出場時間に制限があったとはいえ、鎌田のハイレベルのパフォーマンスを見て、もう100%の状態だと思ってしまった自分自身の判断の甘さを恥じた。

 ただ29歳日本代表MFが最後に言ったように、彼は1-0での勝利をしっかりと意識して、プレミアリーグのダービーマッチで勝つために必要なパフォーマンスを見せた。だからそんな鎌田に騙されたのは仕方がないと自分を慰めた。

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著者プロフィール

1962年3月24日福岡県生まれ。1993年に英国人女性と結婚して英国に移住し、1998年からサッカーの取材を開始。2001年、日本代表FW西澤明訓がボルトンに移籍したことを契機にプレミアリーグの取材を始め、2025-26で25シーズン目。サッカーの母国イングランドの「フットボール」の興奮と情熱を在住歴トータル30年の現地感覚で伝える。大のビートルズ・ファンで、1960・70年代の英国ロックにも詳しい。

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