紙一重の勝負を制した4人の粘りと精神力 ジャンプ混合団体の“リベンジ”完遂を竹内択が語る
日本は1番手の丸山が3位につけて流れを作り、2人目の小林、3人目の高梨がつなぎつつアンカーの二階堂が高得点をマークする展開となった。金メダルのスロベニアには35.2点差と大きく離されたものの、2位ノルウェー、4位ドイツとは最後まで順位が入れ替わる大接戦に。
4年前の北京五輪では、高梨のスーツ規定違反による失格でメダルを逃した苦い思い出が日本代表にはある。それだけに、僅差をものにしてつかんだ悲願のメダルとなった。この接戦を分けたポイントは何だったのか。また、スキージャンプ・混合団体の見どころはどこだったのか。選手としてバンクーバー・ソチ・平昌と3度の冬季五輪出場を果たし、現在はスキージャンプ界で初の「プロアスリートチーム」を率いる竹内択さんにこの“しびれる展開”を解説してもらった。
まとまったジャンプで「順位を下げなかった」日本の強さ
というのも、選手それぞれにジャンプ台との相性がありますし、ワールドカップではラージヒルがメインになるので、ノーマルヒルにアジャストする難しさもあるんです。また、飛距離の差が出づらいノーマルヒルではテレマークをきっちり決めて飛型点を稼ぐことも必要になります。そんな繊細な勝負の中でメダルを獲ることができて良かったなと。本当に安心しました。
今回の接戦を分けたポイントの一つは、4人全員がジャンプをうまくまとめたことです。1番手の丸山選手は個人ノーマルヒルと比べると、ほんの少しタイミングのずれがあったようにも見えましたが、大きなミスはありませんでした。何より、誰一人として大きなミスをすることなく、「順位を下げずに次につないだ」という点が素晴らしかったです。団体戦では、テレマークが入らないだけで一気に点数を失ってしまいますから。
もう一つは、選手のメンタル面です。他国のチームがスターティングゲートを下げた(基準より低くした)こともあり、二階堂選手も2本目はそれに合わせてスターティングゲートを下げてのジャンプとなりました。ゲートを下げると助走が短くなるため飛距離も出にくくなりますが、その分「ゲートファクター」というポイント(加点)を稼ぐことができるため、スキージャンプでは有効な作戦でもあります。
ただ、このときの選手心理としては不安が生まれやすい場面です。「下げて大丈夫なの?」と戸惑う選手もいれば、「調子いいから大丈夫!」と自信を持って飛べる選手もいる。二階堂選手は今ノリに乗っているので、ブレずに飛べたこともメダルにつながった要因だったと思います。
金メダルを獲得したスロベニアは全体的にレベルが高かったですね。スロベニアは人口200万人ほどの国ですが、スキージャンプが非常に身近な存在で、高梨選手も活動拠点を置いています。競技人口も多く、各自治体にジャンプ台があったり、子どもも飛びやすいジャンプ台が整備されていたりと、育成環境も整っている国です。日本もすでにスキージャンプ強豪国ではありますが、もっと多くの人に親しまれるスポーツになって、スロベニアとも接戦を繰り広げられるようになってほしいなとあらためて感じました。